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松の司 蔵元ブログ

『松の司のきき酒部屋 Vol.8 〜後編』

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。

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第8回目のきき酒部屋、後編です。前回のお話の中で“ある綺麗な一本の筋が通っている”とその味わいを形容された『松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)』ですが、どんな料理とのペアリングが描けるのか?はたまたお酒だけで味わうべきか?3人が導き出した答えはいかに?

泣いても笑ってもこれで最終回。どうぞお楽しみください。





酒だけでも美味い

圭太
さて、ペアリングなぁ・・・。

雄作
大前提として酒だけで飲んでも美味いっていうのはありますからねぇ。


ーー今回ばかりはお酒単体で味わうのがオススメになりますか?


雄作
いや、でも海老、蟹系の刺身は良いと思うかなぁ。

圭太
ボトルデザインと味の雰囲気からすると、フレンチのコースみたいな感じもするかなぁ。何にせよあんまり下手なものとは合わせたくないし。

雄作
香りが強いものとはあまり合わへん気がしますね。

圭太
その・・・、味の芯って言ってる部分がすごく繊細な味やから、下手なものと食べ合わすとそれが分からなくなるっていうか。合わせるなら繊細で軽いものになるんじゃないかなぁ。そこがこの酒の一番の魅力やと思うし。


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ーーこのクラスになると贈答用として使われることも多くなりますし、出来れば贈られた方が飲まれる際にこんな料理と合わせてみたらっていうのがあると嬉しいですね。


雄作
さっきのフレンチの話しであれば、舌平目のムニエルみたいなのとか。9号(=きょうかい9号酵母、熊本酵母)のミルキーなところと、白身の甘い感じと上品なクリームソースはありかも。セオリーだとワインのシャルドネで合わすんやろうけど、これも合うと思いますけどね。


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『松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合30%で使用。酵母は熊本系やきょうかい18号酵母などブレンド。




海老・蟹談義


弘佳
日本の懐石とかやったらどうですかね?

雄作
最初に言ってたやつかな。海老とか甲殻系の甘味は結構合うと思うけどなぁ。例えば純米(=純米酒)みたいなハードなのとは甲殻系合わへんと思うし、マグロとかやったら純米とか良いけどね。もっと柔らかい、酒自体に甘味があるUltimusみたいな場合は、海老・蟹は会う気がするなぁ。


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ーー海老・蟹の場合、あまり調理し過ぎず刺身とかでサラッと?


雄作
エビフライっていうとイメージ無いけど天ぷらとかなら無くはない気がしますけどねぇ。塩で食べる分には合うんじゃないかな。

弘佳
どっちかっていうと冷たい料理の方が合うのかなぁと思って。

雄作
酒自体の温度帯的には冷やして飲むからなぁ。


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圭太
冷製のジュレみたいな?蟹とか入ったような。

弘佳
ええ、テリーヌみたいな。

圭太
煮こごりとか?

雄作
ああ、煮こごりは合うかも。夏っぽいし。


ーーやっぱりお酒の温度に料理も合わせた方が良いですかね?


圭太・弘佳
うん。

雄作
そうやと思いますねぇ。


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お寿司でどうでしょう


ーーこの料理っていうことじゃ無くても、このお酒を飲みたいシチュエーションというか、使い方みたいなものがあれば。


雄作
そうですねぇ。さっき言ってた温度を合わすってのは1個キーワードになるかもしれないですね。普通に合わすなら温度帯は合わせたい。

圭太
寿司とかどう?寿司屋で飲むのにネタを選ばず。


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松瀬圭太/37歳、蔵人歴12年目、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得



雄作
寿司良いかもしれませんね。

弘佳
甘エビとかですか?

圭太
いや。この食材っていうよりも、寿司を食べるシチュエーションでUltimusがあったら色んなネタを楽しめる気がする。

雄作
ずっと言ってる事やけど、どれに合わへんっていうのが日本酒はそんなに無いから。寿司みたいに色々な食材をちょっとずつ食べるっていうのは「ペアリング」って言わへんのかも知らんけど、すごい大事かもしれないですね。


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築山雄作/33歳、蔵人歴7年目、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得



圭太
そこにコレが1本あったら通しでいけそうな気がするかなぁ。

雄作
20貫それぞれ全部違う酒とか大変ですしね(笑)

圭太
派手過ぎひんし、甘ったる過ぎひんし。

雄作
酢飯の雰囲気にも合いそうやし。

圭太
温度帯も近いし。

弘佳
何か酢飯に近い感じしますもんね。


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松瀬弘佳/24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。



雄作
うん。酸もあって甘さもあって。


ーーネタも塩で少し柑橘しぼってとか、軽く炙った香味なんかとも合いそうですね。


弘佳
楽しめるのではないでしょうか。

圭太・雄作
はははっ(笑)


ーー締めましたね。


圭太
お寿司屋さんでこの1本!


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さて、取りにふさわしい松の司の最高峰『Ultimus』と食事とのペアリングについて、いかがでしたでしょうか?昔から日本酒が好きな方も、今のトレンドの日本酒が好きな若い方にもきっと美味しいと言ってもらえる、そんな完成度の高い大吟醸『Ultimus』です。

ちょっと身なりを整えて、少し特別なシチュエーションで、その繊細な味わいを美味しいお料理と共に楽しんで頂ければ幸いです。お寿司屋さんでも是非、試してみてくださいね。

それでは『松の司のきき酒部屋』おわります。



商品紹介:
『松の司 大吟醸 Ultimus』
1.5L オープン価格(希望小売価格 10,000円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 5,000円税別)*専用箱入り

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# by matsunotsukasa | 2020-08-04 18:29 | 松の司のきき酒部屋 | Comments(0)

『松の司のきき酒部屋 Vol.8 〜前編』

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。

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第8回目の今回で最終回を迎えるきき酒部屋は、ついに『松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)』の登場です。「根源的な」「究極の」といった意味を併せ持つ“Ultimate”の語源である“Ultimus(アルティマス)”という名を冠した松の司の最高峰です。ボトルからパッケージまで特別感漂うこのお酒はいったいどんな味わいなのか?

前回に引き続き、松瀬酒造の次代を担う松瀬弘佳くんも参加して三つ巴のきき酒部屋です。今回も香りと味わいの『前編』、料理とのペアリングの『後編』に分けてお届けします。





意外におとなしい香り

ーーさて今回はレギュラーラインナップで唯一の大吟醸となる『Ultimus』です。まずは香りからいってみましょう。


弘佳
上品な感じですね。

圭太
香りが立つ方?

雄作
いやぁー、意外におとなしいですかね。

圭太
うん。イメージ的にはもうちょっと香り強そうやと思ってたんやけど。

弘佳
いわゆる吟醸香の感じはするかなとは。

雄作
出品酒(=全国新酒鑑評会に出品する大吟醸)ほどは香らへん感じですね。このクラスはあの香りを期待してしまうところあるんで。


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圭太
でもネガティブな香りが無いからすごく綺麗に感じるかな。

雄作
後から追いかけて華やかなところが出て来ますよね。

弘佳
鼻にスッと抜ける感じします。

雄作
うん。あとやっぱり9号(=きょうかい9号酵母、熊本酵母)からかミルキーさと。それと果物っぽい感じですかね。桃とかマスカットとか杏とかそういう。

圭太
うん。若干ジューシーさもありながら。


ーー大吟醸でモダンな出で立ちとなると、華やかな香りがしっかりと立つイメージが強い昨今ですが、このUltimusは思いの外おだやかで食中酒としての役割も果たしてくれそうです。


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『松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合30%で使用。酵母は熊本系やきょうかい18号酵母などブレンド。




綺麗な一本の筋

ーー続いて味わいについてですが、香りの印象とは合っている感じですか?


雄作
僕は合ってるかな。最初意外とおだやかっていうか綺麗に入って来て、後がこうフワッとボリュームが出てくる感じかな。

圭太
黒(=純米大吟醸 黒)よりは陶酔(=純米大吟醸 陶酔)のニュアンスに似てる感じになるかなぁ。黒みたいにシュッと凛とした酒っていうよりは、でもそれが陶酔ほどポタッとしてないっていうか。そこに大吟(=大吟醸)の繊細さがあって。雄作が言ったみたいに入りからフェードアウトまでの膨らみがすごく良く感じる。


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松瀬圭太/37歳、蔵人歴12年目、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得



雄作
そこに一本スーッとね。線の綺麗な、何か一本筋が通ったような・・・。


ーー味の“張り”みたいなものですか?


雄作
うーん、張りっていうか・・・そういう筋があって、ただ陽気なだけの酒では無い感じが。

圭太
うん。大吟っていうハイクラスの品位がちゃんとあって。

弘佳
9号のコクみたいなのもあるかなぁって。

雄作
そうやなぁ。


ーー香りでいうミルキーさみたいな?


圭太
うん。それが味の厚みになってるかなぁ。

弘佳
(綺麗な味わいとの)相乗効果だと思います。


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余韻のグラデーション


雄作
あと酸も程良く感じて。

圭太
うん。

弘佳
だらしなさが無いですよね。

雄作
味の構成として甘みと酸っていうのがバランス取れてる。


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築山雄作/33歳、蔵人歴7年目、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得



ーー味の余韻はどうでしょう。スッと消えていくような感じなのか?


弘佳
ツーっと続いていく感じはしますね。

雄作
そうやなぁ。

弘佳
グラデーションがかかってるような・・・。


ーーグラデーション?


弘佳
膨らんでからスーッと消えていくような。

雄作
キレっていうよりは余韻がある方ですよね。


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松瀬弘佳/24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。



余韻へとつながる酒の芯

圭太
やっぱり米を磨いてる(=高精白、精米歩合30%)だけあるなぁって気がする。さっき雄作が言った線が一本通ってるっていうのと同じイメージなんやけど、すごく綺麗な酒の芯が通ってて・・・。

雄作
もちろん酒の起伏はあるんですけど、そこに一本筋が通ってる感じが。

圭太
それが弘くんが言ってる余韻の長さにつながってるような。その通ってる筋がずっと残っていくようなイメージ。味の起伏自体は消えていくけど、酒の芯は残っていくような。


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雄作
いわゆる今時の大吟を想像して買うとちょっとイメージが違うかな。

圭太
うん、そうやな。もっと甘くて香りがブワーッとある派手な感じじゃ無いから。ケバく無い。

雄作
っていうのを知って買って欲しいですね(笑)


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松の司の最高峰『Ultimus』の味わいにはとても綺麗な一筋の芯が通っているようです。なかなか具体的な味として表現するのは難しいですが、それがお酒の品位やテンションになっているように思います。是非とも皆さんに味わって体感してもらえたらと願うばかりです。

さて次回の『後編』で本当の最終回となります。『Ultimus』と料理、どのようなお話になるか楽しみにお待ち下さい。



商品紹介:
『松の司 大吟醸 Ultimus』
1.5L オープン価格(希望小売価格 10,000円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 5,000円税別)*専用箱入り

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# by matsunotsukasa | 2020-07-22 16:02 | 松の司のきき酒部屋 | Comments(0)

『松の司のきき酒部屋 Vol.7 〜後編』

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。

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第7回目、『松の司 純米大吟醸 黒』の後編です。前編では、派手さは無いけれどおだやかで落ち着いた中に、繊細な複雑さや風格を感じさせる味わいという評価だった『黒』ですが、料理とのペアリングはどのような話になるのでしょうか?

引き続きいつもの2人と松瀬 弘佳くんの三つ巴できき酒部屋のスタートです。





遅めの流速と甘み

ーーさて続きまして料理とのペアリングですが、このクラスのお酒っていうのもありますし、複雑さや上品さが特徴となると料理と合わせるよりお酒単品で飲みたい感じでしょうか?


雄作
いや、でも派手じゃ無いから全然いける気しますけどね。

圭太
ただ、そこそこのものとは合わせたくなるかもなぁ。

雄作
確かに家庭料理って感じでは無いかも知れませんねぇ。ヒロくんはどう?

弘佳
どうでしょうねぇ・・・。


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松瀬 弘佳 / 24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。



雄作
まずは和食かなぁ。

弘佳
例えば牛刺しとか、和牛の握りとかあるじゃないですか。どうかなぁと。

雄作
肉の脂多いのは良いかもしらんね。赤身がちっていうよりは。僕、最初に思ったんは、海老の刺身とかカニ刺しとか。

弘佳
海老っていうと甘エビとかですか?

雄作
うん。甘エビとか伊勢海老とか、すごく甘味のあるやつ。あとはキンキとか白身やけどちょっと脂多いやつかな。


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築山 雄作 / 33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得



圭太
俺思ったんはグジやったなぁ。白身でちょっと皮炙ってたりしたら良いかなぁって。イカとか海老はこれまでのペアリングの話でもよく出て来てたけど、合いやすいんかなウチの酒と。

弘佳
酒の味の流速が遅くて甘みがあると、イカ刺しとかは良いような気がしますね。

雄作
あとはクエとかかな。

弘佳
ホタテとかはどうですかね?

雄作
ホタテなぁ・・・貝類なぁ、どうやろ。

弘佳
ちょっとキツ過ぎますかね、主張が。

雄作
貝類にやったらもう少しアミノ酸多そうな酒と合わすかなぁ。でもホタテはありかも知らんけど。


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『松の司 純米大吟醸 黒』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合35%で使用。酵母は熊本系を主体に数種ブレンド。




出汁に合わせる


圭太
前に東京の一凛さん(=東京神宮前の「日本料理 一凛」)でペアリングやったけど、出汁に合うっていう、あの時は椀物に合わせてて。すごく綺麗な出汁とこの精白した(=高精白、精米歩合35%)綺麗な酒の感じが近づくっていうか、すごく良かった印象がある。ただ家で食べるような料理からはちょっとイメージが遠いけど。

雄作
今の話やと茶碗蒸しとかね。あの卵の甘味と出汁の上品さと、家で食べるならこれからの季節冷やしても良いでしょうし。あと野菜やとトウモロコシの冷製スープとか。ああいう砂糖入れずに自然の甘みぐらいが酒の甘みと共存するし、面白いんじゃないかなって気がするなぁ。


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右:松瀬 圭太 / 37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得




リースリングから考える

ーー例えば洋食だとどんな料理が良さそうですかね?


雄作
さっきヒロくんリースリングみたいって話ししてたから、何かドイツとかあっちの方の料理とか・・・。あれはオーストリアやったけど仔牛のカツレツとかとリースリングはすごい良かったけどなぁ。日本ではあんまり食べへんけど。

弘佳
あぁー。

雄作
日本のトンカツよりはるかにサッパリしてるから。


ーー薄めのトンカツみたいな?旨味の強い?


雄作
薄めやし脂もほとんど無い感じですね。でも旨味強めでも無くて、淡白やけど鶏とまではいかへんけど、日本で思う豚よりもっとサッパリしてて。でも豚でも脂少ないフィレとかやったら合う気もしますね。あとミネラル感っていうところで塩つけて食べるのも良い気がしますし。

弘佳
ラムとかどうですかね?ラムチョップとか塩で。そんな脂も強くなくて、ミネラル系とも相性良さそうな気がします。

雄作
あぁ、ラム良いかもなぁ。


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ーー割と肉系だと脂少なめで肉自体の甘さがある印象ですね。ラムだと若干のミルキーさもあるし、味わいの話で出て来た“粘度”みたいな質感に合うんでしょうか。


弘佳
系統は似てるかも知れないですね。

雄作
肉も生やと多少脂あっても良いかも知らんけど、焼いた時はね・・・。

圭太
俺はやっぱり脂有る無しでは無く肉よりはもっとクリアなものと合わせたくなる。甘味よりも細身な味のところに合わせたいかなぁ。さっきも言ったけど出汁系で洋食とかになると何やろう?

雄作
コンソメとかですかね・・・。


ーーなるほど。さっき話しされてた味わいのキーワードとして、甘味・落ち着き・クリアさなどが出て来てましたよね。そういう味自体は重たく無いけどクリアな中でしっかりと味わいの層が厚いスープには合いそうです。スープに合う日本酒ってあんまり訊かない気がしますし、面白いと思います。


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食材自体の力が欲しい


雄作
案外、冷やし中華とかと飲んでも全然いける気もするんですけどね。違和感は無さそうな・・・餃子では無いですもんね。

圭太
うん。餃子じゃ無いなぁ(笑)冷やし中華でもいけるんかも知らんけど、何か構えるんかなぁ、酒に。あの『陶酔』の時みたいに「意外に普段飲みでもいけるやん」って感じにならへんのよなぁ。

雄作
うん。ならへんすね。酒も繊細やし。

圭太
そう、この酒の高級感と繊細さが・・・。


ーーでもそれはこのお酒の“格”としてはすごく正しい味わいだと思います。同じ純米大吟醸でも、ちゃんとランクとして造りとして『陶酔』とは全く違うキャラが立っていて。


雄作
『黒』でもクエ鍋とかカニ鍋とかやったら良いかなって。高級食材でちょっと時期が違うからイメージしづらいかも知らんけど、食材自体に力があるっていうか、味が強いっていうんじゃ無いけど、それだけで勝負出来る食材じゃないですか。カニもクエも。そういうのに『黒』は合わせたいかな。陶酔とはちょっと違いますね。


ーー派手でハッキリとした味の取っ掛かりで合わせるっていうよりも、食材自体のテンションが必要になって来そうですね。


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おせち


弘佳
“おせち”がある時にこの酒があったら楽しめるんじゃないかなって思ったんですよね。特に伊達巻とか合うんじゃないかって思って・・・そこからおせち料理の中身を考えたら、結構カニとか海老とかあるし。

圭太・雄作
あぁー。

弘佳
おせちって選りすぐりの逸品をミニマイズしたみたいなところがあるじゃないですか、それも全部品があって格もこの酒と合いそうだし。グレードがあってる中で選びながらっていうのは一番楽しめるんじゃないかな。おせちの具材よりもこの酒の主張が強くなり過ぎず、寄り添うかたちでいられるっていう。

圭太
うん。おでんとかと何でも合うっていうのじゃなくて、おせちっていうグレードの中での食材とのペアリングは良いかもなぁ。

弘佳
えぇ、良いんじゃないかなぁと。

雄作
時期的にも良いお酒ですよね。

弘佳
お正月に、今日は『黒』で・・・って。


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『きき酒部屋 Vol.7』いかがでしたでしょうか?繊細な複雑さや品格を持った『黒』とのペアリングは、今までになく食材自体の力や料理のグレードを意識させるものになりました。前回の『陶酔』の持つフランクさとは全く異なる個性でしたね。

高価格帯でもありますし、普段飲みにというものではありませんが、何かの節目であったり“ここぞ”という日にテンションの高いお料理と合わせていただければ、きっと至福の時間を演出してくれること間違いなしです。また大切な方への贈り物に使っていただければ喜んでもらえるのではないでしょうか。

さて、次回はこの6月と年末11月にリリースする限定商品『松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)』をきき酒したいと思います。どうぞお楽しみに。



商品紹介:
『松の司 純米大吟醸 黒』
1.8L オープン価格(希望小売価格 9,000円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 4,500円税別)*専用箱入り

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# by matsunotsukasa | 2020-06-18 09:04 | 松の司のきき酒部屋 | Comments(0)

『松の司のきき酒部屋 Vol.7 〜前編』

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。

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第7回目となる今回は、ついに松の司レギュラーラインナップの最高峰『松の司 純米大吟醸 黒』の登場です。丁寧な原料処理と小さなタンクでの繊細な醪(もろみ)の発酵管理など、心を尽くして仕込む『黒』。前回の『陶酔』と同じハイクラスの純米大吟醸ではありますが、一体どう違うのか?

今回もいつもの2人に加え、松瀬酒造の次代を担う松瀬 弘佳くんと共に三つ巴のきき酒です。『前編』『後編』に分けてたっぷりと『黒』の魅力をお届けします。





良い酒の予感

ーー今回の『黒』は現行商品のH30BYになります。1年の熟成を経たその香りはいかがでしょうか?


圭太
熟香はするね。嫌味じゃ無く。

弘佳
上品な感じしますね。

雄作
そうやね。カプロン酸(=カプロン産エチル、リンゴの香りに形容される吟醸香の一つ)か分からんけど、甘い果物・・・桃とか、リンゴとか、あぁいう匂い。

圭太
カプロン酸系になるんかなぁ?果実味、熟香、若干のアルコール感。


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雄作
炊いた米とかミルクとかっていうよりも果物。

圭太
そやなぁ。吟醸香らしいピュアな匂いって感じがするな。

雄作
熟成の匂いもするけど、爽やかでスッキリするところもあるし。

圭太
雑な香りがせえへんし、透明感があるね。

弘佳
鼻抜けがすごく良いですよね。

圭太
良い酒の予感がする・・・(笑)


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『松の司 純米大吟醸 黒』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合35%で使用。酵母は熊本系を主体に数種ブレンド。




派手さは無い

ーーこれまでの商品で多かった香りは酢酸イソアミル(=バナナやメロンの香りに形容される吟醸香の一つ)でしたが、何か分かりやすい系統の香りはありますか?大吟醸らしさとか?


雄作
カプロン酸みたいなのは控えめやけど、僕は何となく感じるかなぁ。

圭太
華やかな香りっていうよりは落ち着いた香りで。もう少し温度が上がるとイソ(=酢酸イソアミル)っぽい感じも出て来るかな?

雄作
スカッとしたイソの感じよりは、もうちょっとおだやかで丸くって。

圭太
大吟、大吟してないっていうか・・・。


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弘佳
派手さは無いですよね・・・。

雄作
うん。派手では無い。意図してないっていうのもあるやろうし。熟成してるからってカラメルみたいな香りもせえへんし。そこにちょっとアルコール感がある感じですかね。


ーー圭太さんが始めに言った“熟香”っていうのもカラメルやドライフルーツのような一般的な熟成香では無い?


圭太
そう。フレッシュな香りっていうよりは落ち着いたっていう。いわゆる熟成香では無くてちょっとこなれた匂い。

雄作
老香(ひねか)とか熟成香では無いんですよね。

圭太
うん。そこじゃ無いところでのこなれた感じ。


ーー何か突出した分かりやすい香りは無いようです。そして派手さは無いけれど、丸く落ち着いた果物のような香りが、雑味なく透明感や上品さを感じさせるようで、味わいへの期待値が静かに高まります。


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蜜と透明感

ーーそれでは味わいについてはいかがでしょう?


雄作
味の方が熟成してる感じがするかな。若干、粘度とまではいかないけど、舌の上に乗る蜜っぽい感じがする。

圭太
甘みが強いよね。それが蜜っぽいニュアンスになるんかな。確かにトロミみたいな感じも。

弘佳
ちょっとリースリングみたいな感じも・・・。


『松の司のきき酒部屋 Vol.7 〜前編』_f0342355_14365513.jpeg


雄作
もうちょっと酸があっても良さそうやけど、割と酸は低い感じがしますね。なめらかで丸くって。

弘佳
思った以上に華やかでは無いというか、落ち着き払った感じがします。

雄作
そうやなぁ。透明感あるけど味自体は、こう、ポタッというかそれこそ蜜っぽいニュアンスがあって、でもしつこく無くキレがある。

圭太
そうやな。キレがある・・・甘いのにしつこく無い感じ。けどトロミって表現しちゃうと反対の印象になるから、あれなんやけど、トロミっぽい味わいなんやけどスカッとしてるっていうか、“入り”と“出”の時の感覚が違うっていうか・・・。

雄作
熟成してるから丸みがあるけど、米を削ってる(=高精白、精米歩合35%)から透明感が出てるんじゃないかな。


ーーなるほど。


『松の司のきき酒部屋 Vol.7 〜前編』_f0342355_07365651.jpeg



味は多く無いのに複雑


雄作
あとはウチの水っぽさかな。ミネラル感みたいな。

圭太
うん。後口の方で・・・さっきも言ったけど入りとの雰囲気が違うっていう感じがすごくある。

弘佳
鉱物っぽいの思いますよね。

圭太・雄作
うん、うん。

圭太
最後鼻に抜ける感じに軽い渋味のニュアンスも。

弘佳
でもそれがスパイスっていうか、飲み飽きなさにつながる感じがするんですけどねぇ。

圭太
香りもそうやけど、味も落ち着きがあるよね。華やかっていうよりか凛としてる。

弘佳
品があるっていうか、風格があるっていうか。何て言ったら良いのか分からないんですけど、フラッグシップ感みたいな・・・。


『松の司のきき酒部屋 Vol.7 〜前編』_f0342355_08154300.jpeg
左:築山 雄作 / 33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得
右:松瀬 弘佳 / 24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。



雄作
そう。味は多く無いんやけど、複雑さがあるからかなぁ・・・酒自体の。透明感だけでも無いし、華やかだけでも無いし。


ーーそこですかね、品とか奥行きを感じさせるのは。


雄作
うん。味の構成が多いから複雑なんかって言ったら、またそういう複雑さじゃ無い。

圭太
うん。確かになぁ。

雄作
大吟っぽい上品さ、繊細さがある。分かりやすさは無いけど、飲みごたえっていうか。


『松の司のきき酒部屋 Vol.7 〜前編』_f0342355_15454240.jpeg
松瀬 圭太 / 37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得




矛盾してるものが一緒にある

ーー玄人感が強い印象になりますかね?


弘佳
いや、取っ掛かり難さは無いですね。結構受け入れられやすさはある感じがします。

雄作
何か矛盾してるもんが一緒にあるみたいな・・・。蜜みたいな粘度もあるって言いながら、大吟らしいキレの良さもあるし。

圭太
味幅があるような感じやのに、こう、クリアっていう。

雄作
言ってることが矛盾してるみたいに聞こえるけど、それが酒で体現されてるっていう・・・。

圭太
そう、そう、そう。何か不思議な感じ。


『松の司のきき酒部屋 Vol.7 〜前編』_f0342355_14373024.jpeg

雄作
飲んでて派手じゃ無いって言うてても、口に入れたら甘いし広がりも感じるし。

圭太
しかもしつこく無いし、ネバつかへんし。でもチグハグとは違う。

弘佳
バランス良いですよねぇ。

雄作
うん。やっぱり味の構成が多くない複雑さ。陶酔とはまた全然違う感じしますね。酵母構成は近いはずやのに。飲まんと分からん感じ(笑)

圭太・弘佳
うん、うん(笑)


ーーとても良い高級感のように感じますね。



味わいについての話がまとまって来たところで、今回はお開きです。華やかでキャッチーな、いわゆる“大吟醸”という印象とは全く異なる『黒』の味わい。香りもそうでしたが、とてもおだやかで落ち着いた中に、いくつかの相反するような味わいのストーリーが折り重なり、繊細な複雑さと風格を感じさせる逸品のようです。「飲まんと分からん感じ」とはまさにそうなのでしょう。
さて次回後編では、『黒』に合わせたい料理について模索していきます。是非、お楽しみください。



商品紹介:
『松の司 純米大吟醸 黒』
1.8L オープン価格(希望小売価格 9,000円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 4,500円税別)*専用箱入り

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# by matsunotsukasa | 2020-06-15 08:33 | 松の司のきき酒部屋 | Comments(0)

『水から考える松の司』 〜第3話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものについて、肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

現時点でそれらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、当蔵の石田杜氏がここ数年取り組んできた“水”と言う観点から何かその裾にでも手が掛かるのでは無いかと感じました。

そこで『水から考える松の司』と題しまして、松の司のお酒全体に共通する“味わい”であり“何か”を、その仕込水から考えてみようと石田杜氏にインタビューを行った次第です。その話は水についてだけには留まらず、“井戸とは” “地酒とは” “理想の味わいとは” というさまざまな思想がふんだんに詰まったインタビューとなりました。

そんな新鮮な記録を3話に分けてお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




均整美

ーーウチのお酒って“キレイ” “クリア” と表現されることが多いと思うのですが、今うかがった松瀬酒造の水の質から考えるともう少し重いというか力感やエッジがあるような、若干お酒とのイメージの違いを感じます。


石田
人がキレイという時に、特に日本酒業界でキレイっていうと肉薄で、ゴツいっていう時は味がガッツリしてるっていうのはあるけど、それとは違うところで“均整美” があったとしたら・・・。

水がサラッと流れる細身のキレイさもあるし、割合米を溶かして(=味がゴツく)てもキレイなところがあるから、そういう意味で、こう・・・味をまん丸にはしたいなぁ。違和感の無いっていうか。


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石田
若いのに年寄りみたいな人もおかしいし、細いのに肉付きあるような格好しようとしても無理やし。だから自分のところの水とか、テクニックとか、好みに即したカタチで「あの人、違和感無いなぁ」っていうのを。

全体としてキレイって言われるのがベストやと思うけどなぁ。そういう意味でキレイやと良いなぁ。

水って人間でいうと育ちみたいなもんで、育ちがあってそこの骨格に対して肉付きがあって、その全体の肉付きとか育ちに対しての、仕立てとか服とかデザインが出来たら。上品で違和感無いんやけど、他の人と並べた時に「あぁ、あの人やっぱりどの人と並べても違和感無い」っていうか・・・。


ーーえぇ。四角い水を丸く包むことで感じられるような自然なキレイさってことですかね。


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偉大な普通


石田
ちょっと話しそれるけど、ワインのブルゴーニュのシャルドネが何でそんなに凄いんかなって思うやん、やっぱり。シャルドネで比べた時にムルソー(=フランス・ブルゴーニュ 地方にある産地)の1級があって、世界で1番有名なシャルドネの良い畑なんやわ。

・・・普通ねん、ホンマに。

造り手も良い造り手で、口の中に入れたら普通ねん。シャブリ(=フランス・ブルゴーニュ地方の最北の地区)の方がやっぱりエッジ立ってたりキャラ立ちしてるし、あともう一つカリフォルニアかどっかのそれも良い造り手やったんやけど。もう1回隣のキャラ立ちしたやつから普通のやつに戻ったら、いつまでも上品に普通なんやわ。

でもただの普通のやつを持って来たら普通のやつはどんどん下がっていく。やけどホンマにバランスが取れてて落とし所を持ってるやつは普通に見えるけど下がらへんのやわ。


『水から考える松の司』 〜第3話_f0342355_07360239.jpeg


石田
だからアレがどんなトレンドになったとしても残る酒なんやと思う、多分。潜在的なポテンシャルはもちろん必要なんやけど、その姿をどう見つけてやるかっていうのがね。

ブルゴーニュなんて数限りなくテクニックを使ってるわけやん。だから世界中が真似するんやけど、やらしいねん。だからテクニックとかそういうもんを「普通やなぁ」って、全部が均整美が取れてるのを追ってくのは歴史も要るし、それを造っていくだけの造り手側の素養やんな。


『水から考える松の司』 〜第3話_f0342355_07360877.jpeg
『水から考える松の司』 〜第3話_f0342355_07370417.jpeg


ーーテクニックっていうのはそういう意味で必要なんですね。何か色を一生懸命つけるとか、特徴的な新しいものを生み出すんでは無くて、ホントにキレイな丸をどれだけ描けるか。どんどん透明に近づいていく技術のような。


石田
やろうと思うよ。何でも言われてる話やけど。

楽茶碗とかもそうやと思うわ、黒楽茶碗。アレは典型で、あんな普通のモワンとしたやわらかい黒だけの茶碗の何が凄いねん?なんやけど何を横に持って来ても下にならへんのやわな。そういうことなんやろうと思う。


ーー・・・偉大な普通。


石田
うん。偉大な普通。でもただの普通じゃ無いねん。自分の持ってるもんへの理解よな。

米に関してはこっち側で色々出来ちゃうから、持って来ることも出来るし。処理をしてるわけやから。話とか論文とかもいっぱいあるやん。ただ水に関してはそんな話が無いからなぁ・・・水は水ってなってしまってるから。

そこについて詰めていけば、何か自分として日本酒についてもっと面白く出来るんじゃないかっていうのがある。


『水から考える松の司』 〜第3話_f0342355_07355588.jpeg



“らしさ”って

ーー現時点で石田さんとしてはその理想のカタチにどこまで近づけてるんですか?


石田
いやぁ・・・一応造ってるからさ。春終わった時点では、現時点での最高到達点やと思ってはいるけど、結局秋ぐらいになったら意外に変わってなかったなぁとか、やり過ぎたなぁとかあるから。

毎年毎年はアレしよう、コレしようってやってみるけど「コレ当たり」っていうのは分からへんからなぁ。一個一個シラミ潰しにしてるつもりやけど一個やったらまた一個出て来るし。

造ってるとやっぱり子供みたいなもんやから。目に見えてるところから出て来て、良くあって欲しいわなぁ。絶対良い奴であって欲しいって思うやん。でも実際はそんなことは無いわけで(笑)。


『水から考える松の司』 〜第3話_f0342355_14400667.jpeg


ーー今回お話を聞いてて、石田さんの中で“松の司らしさ” っていうのは“この味わい”っていうものじゃ無いんですね。


石田
無い、無い、無い。

“松の司らしさ” ってそりゃあったと思うよ。前の杜氏さんとか前の前の杜氏さんの時から。今まで話した中にもあったやろうし・・・。う〜ん、でもこの敷地内でその時々の従業員が一生懸命に造ったら、それが瞬間風速的な“らしさ” やと思うし。

それを超えて何か違うものも造られへんし、そこ超えて造っても良く無いしなぁ。だから、そういうもんを皆んなで担保しあってるのが良いんじゃないかなぁ、多分。




インタビューはこれでお仕舞いです。『水から考える松の司』いかがでしたでしょうか?

今回追い求めてみた“松の司らしさ” やその“味わい” というのは何か特定の個性にあるようでいて、絶えず変化しながらも一つの姿を保とうとする松瀬酒造という渦の瞬間瞬間を捉えた写真に映るようなものなのかもしれません。

自分の蔵の“水”という大切な一つの要素を探求する中で触れた、今この瞬間の松の司を、皆さんにお伝え出来たなら幸いです。


<終わります>






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# by matsunotsukasa | 2020-06-04 07:58 | 日記 | Comments(0)