『土から考える松の司』 〜第2話
〜プロローグ〜
これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。
それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。
前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。
ブルーと花伊吹
ーーウチのお酒に使っている酒米は主に竜王町産それと兵庫県産ですが、あらためて竜王と兵庫それぞれの土壌ってどんな土壌でしょうか?お米やお酒への影響も含めて。
石田
前に、「花伊吹」っていう商品があって。ブルー(=旧・純米吟醸 竜王山田錦)をタンク1本、花伊吹をタンク1本って構成やってん。
ーーPBとかじゃなくてウチの商品としてですか?
石田
うん。で、花伊吹は兵庫県の山田錦(精米歩合)50%で、ブルーは竜王の山田錦(精米歩合)50%っていう。
だからその頃から竜王の山田錦と兵庫の山田錦の純粋な比較が出来たわけ。
ーー酵母も造りも一緒だったんですか?
石田
全く一緒。だからその時に50%同士で比べたら、やっぱり花伊吹はムッチリしてるし、竜王の方はちょっとサラッと硬かったりグリップが弱かったんやわ。
それで15、6年前かな、兵庫の田中さん(=兵庫県の旧東条町 特A地区で酒米栽培を行っている「こうせつ・たなか」)とこに田植えに行ったり、1、2週間くらい手伝いに行ってて、さすがにその頃になったら竜王の酒米部会で田んぼ回って見る土と、田中さんとこの東条の特A地区の土が全然違うのが分かるやん。
その頃はもちろん東条(の山田錦)が良いって話やったけど、良いんであればじゃあ何が違うんかっていうのは、「(竜王は)あっ砂がかんでる。砂利が多い。」で「(東条は)純粋な青みがかった粘土」っていう一番シンプルな分け方がその時に出来たかもしらん。
東条より複雑な土地
ーーその他にも感じる竜王と東条の土の大きな違いっていうのは?
石田
専門家じゃないから実務とか米を使ってる上で言えるのは、やっぱり砂利がかんでるか、純粋な粘土か。あと東条の方はモンモリロナイトっていうもの凄く粒子の細かい陽イオン交換力がでっかい多孔質の土なんやわ。
ーー保肥力、保水力がすごく高い土ですか。
石田
ウチとこ竜王の山中(地区)を例に出したら、もう見た目から白いやん。ジャリジャリしてるやん。長靴で田んぼに入っても、そんなロングの長靴の上から土が入ってくる程じゃないやん。
ーーそうですね。僕も東条に手伝いに行った時、ちゃんとした田植え靴じゃなかったら足がドボンと入って抜けなかったです。
石田
んで、東条は上東条ばっかり行ってたけど、北の一番良い手の少分谷、黒谷、秋津、もうあそこら辺の良いとこばっかり行って言えるのは、谷の方角が違うだけで土はどっこもその粘土なわけ。割合均一にずっと粘土なんやわ。
ところが竜王っていうのは素人目にも赤い土があったり、白い土があったり、平らな沖積土で覆われてる所でもその真ん中に駕輿丁(地区)みたいに粘土が隆起してるとこあったり。
だから実は東条よりも複雑やったってことかな。





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by matsunotsukasa
| 2020-09-15 12:05
| 日記