『土から考える松の司』 〜第3話
〜プロローグ〜
これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。
それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。
前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。
ブルーの手応え
ーー昨年度の造りでブルー(=純米大吟醸 竜王山田錦)の土壌別仕込も3年目になりましたが手応えはいかがですか?
石田
手応えは想像以上。
ーーおぉ。元々そのお酒の仕上がりについて思い描いてた範囲以上というかこんな感じになるかっていう。
石田
あっ、出来について?
ーーまずは、はい。
石田
酒の出来については特別なことも無いし、どれかに手一杯手をかけてってわけでも無いやん。連続性の中で出来ていく・・・、やから出来についてはその年々の範囲でちゃんと満足出来る範囲かな。
やけど、1個1個の土壌ごとに分けて仕込んだ時の差っていうのは、まぁ知ってるやん。自分自身は。それは想像出来るんやけど。それを世の中に出しても良いんかなってタイミングやから出したんやけど、それを面白がってくれる人が増えたってことについては・・・。
ーー想像以上。
石田
うん。そう。
ーーもっと反響は低いかなって思ってました?
石田
じゃないかなって思ってたよ。だって金沢酵母を18(=きょうかい18号酵母)に変えたら誰でも分かるやん。フレーバーが変わるっていうのは。だからよく米違いとか田んぼ違いするのに酵母変えちゃうわけやけど、それはしたく無かったし。
曖昧なことを差として楽しむ
石田
(土壌別仕込は)ワインのブドウの品種が違うのとは違ってフレーバーが違うわけじゃ無いから。どっちかっていうと舌触りとかテクスチャーの違いやし、そのテクスチャーって“肌触り”みたいなのと一緒やから・・・。
ーー分かり難くて曖昧といえば曖昧ですかね。
石田
そう。曖昧なことを楽しむとか、それを差として捉えて話題の中に取り込むような状況があるんか?っていうのはあったけど。自分もワインのお陰やと思うんやけど、日本酒飲む人でもそういう風に捉えてくれるようになったってことじゃないかな。
ーーはい。
石田
前はもっと、生かどうか?生原酒かどうか?吟醸かどうか?とか・・・。
ーーええ。味が重い軽い、甘い辛い、分かりやすい味覚の中の話しですよね。
石田
そういう意味ではいろんなテクニック的、製法的な商品の差別化みたいなんが飽和しちゃったから、自分たちが本質やと思ってる米のこととか、地酒にとって本当のローカリティーっていう方に目が向いてて。そこに自分らがものを出せる状況にあるから、どうかなって思ってやてみたら、ちゃんと反応してもらえた。




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by matsunotsukasa
| 2020-09-25 13:11
| 日記