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松の司 蔵元ブログ

『土から考える松の司』 〜第4話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。

前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




弓削から学ぶ

ーーそれにしても今年は思いがけず弓削(地区)が個性的な仕上がりでしたね。


石田
うん。そう言うことが出てくるんやろうと思う。今まではこっちが想定するだけやったから、ただの二元論やん、“砂利”なんか“粘土”なんか。

最初言ってたみたいに耕作土のその粒子の大小。それとその混ざり具合の割合やって話しなんやけど、弓削っていうところ(土壌:粘土+砂)が意外に・・・、この前の洪水あったみたいに、元々琵琶湖の底やったとこやし、川の浸食も結構受けてるところやから、粘土が流れ込んでたって耕作年数が長くたって、結構軽いんやんな。


ーーそうなんですよ。近くの橋本(地区)とか林(地区)とかから想定したイメージと違うんですよね。面白かったんですよね。


石田
これが(土壌別仕込を)長いことやればもっと違う人が違う切り口で見つけられることがあると思うねん。

ほんなら、ブルゴーニュの“グランクリュ”と“1級”の格付けがあって、その年単年で見たら1級がグランクリュを超えることもあるし。だから最初にそこに入植したもの凄くテイスティング能力のある人が「こっちグランクリュ、こっち1級」って簡単にうねで分けれるかって言ったら無理やんそんなん。

日本酒なんかもっと無理やから。やけどきっと米でも村ごとやったら瞬間風速的にはきき酒で判断出来ませんでした。だから(個性が)無いっていうのでも無い。今年は差がありませんでしたって言うから差が無いっていうわけでも無い。

で、何人もの人が何人も同じ眼差しでもって、ずーっと続けて行ったら、実は動かんもんがあるはずやから、それのことを文化とか土地の個性、残すべきその土地の表現、キャラクターって言って良いんやと思う。


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石田
だからある日突然、誰かがそういうコンセプト見つけました。発見者です。全部分かりますよって言うて、実際分からへん時もあるけどまぁ大体やれば分かりますって、そんなんじゃ分からへん。

分からへんねんけど・・・、そこに何かは必ずあって、それは何年間、15年やってもあるって信じられることがあるから。その細かいことを次の経営者の人もやって、それを愛でて楽しむっていうのが文化やし、それがブランドやと思うなぁ。


ーー木の彫刻じゃないですけど、ずーっとちょっとずつ触っていったら、その中に埋まってる形が見えて来て、なるべき形になるような。


石田
うん。弓削の話なんか全くそうで、最初の想定あるやん。それは自分なりの方法論でシンプルに考えて、みんなに伝えていって、やってみて、新たなとこを造ってみたらそれだけじゃないなってものが出て来るわけやん。じゃあこれは何じゃろな?って。

また3年くらいやったら、それが弓削だけじゃなく林(地区)もそうやわ、「あっじゃあ川が近いからか」とかあるやろうし。林には無いけど弓削だけにあるんやったら、洪水とかで水に浸かって表面が洗われてんねやなって。それで表面の肥料具合の違いが大きいんやってなったり。

もう3年やっただけで弓削がちょっと違うねって出た時点で、物語が1ページ増えるわけやからなぁ。


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積み重ねた文化の上に立つ


石田
だからさ、いきなりそのワイン好きの人とかがブルゴーニュと比べてどうとかって話になりがちなんやけど・・・。ブルゴーニュは何千年もそれ(土地を見続けることを)やって、それだけの市場価値があって、プロモーションもやって、(確かにそこに)“あるもの”ってなってるやん。

で、みんなが“分かってるもの”ってなってて。じゃあそれが何の上に立ってっるかって言ったら、プロモーションと歴史、その歴史の上に今立って楽しんでるから、それが文化やん。あっちはもう2,000年近くやってるからなぁ。こっちは(山田錦を)栽培してるところで40年くらいやんか。だから今はこれで十分なんやと思うよ。


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石田
現にブルゴーニュでさえコート・ド・ニュイとボーヌ(=南北に隣り合う2地区)さえそんな分からへんよ実際。やけどしゃべる時はその違いがあるように、もう臨済感としてあるのはこれ文化やんなぁ。ブランドやんなぁ。


ーーみんなが信じてることですよね。


石田
もう「ブルゴーニュ」「テロワール」ドーン!ってあるやん。

これは絶望とか失望して言ってるわけじゃ無くって、味覚のウェイトだけに固執して間違って捉えられるのは生産的では無いから・・・、焦らんと、今はそういう「弓削違いましたね」っていうようなことを積み重ねて行くべきなんやろうと思うけどなぁ。

もしかしたらやけど、10年くらいして「粘土っていうんじゃ無かったね」っていうのでもそれはそれで良いんじゃ無いかなって、それで十分。



<つづきます>



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by matsunotsukasa | 2020-09-29 11:46 | 日記 | Comments(0)