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松の司 蔵元ブログ

カテゴリ:日記( 82 )

R2BY 酒造りスタート

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ーーこんにちは管理人Hです。

久しぶりの通常ブログですね。夏の間、企画ものブログが多かったせいで一体どうやって普通のブログを書いていたのか思い出しながら、たどたどしくキーボードを叩いております。

そしてご報告が遅れましたが、先週末から精米がスタートし、ついに2020酒造年度の酒造りがスタートしました。


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ご存知の方も多いでしょうが酒蔵というのは冬の間、ウチで言うと10月〜5月くらいまでがお酒造りをする繁忙期になります。なので夏の間は暇ってことは無いんですが気持ち的にはリラックスしているわけです。

そうしているとですね、暑さが和らぎですね、田んぼが黄金色に色づき始め「あ〜そろそろだな〜」。稲穂が垂れる姿を見て「あ〜始まる、始まってしまう!」という毎年恒例秋の気持ちルーティーンを終えるか追えないかの中、酒造りは始まるのです。


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なんだいい加減だなと思われるかもしれませんが、人の気持ちってそんなものです。ただ始まれば違いますよ。「始まってもうたな〜」とか言いながらそこは気持ちを切り替えて真剣にお酒と向き合います。

そんな中、今週はお米の初洗いをし、初蒸しを行いました。


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久しぶりに甑から立ち上がる蒸気。蒸されたお米の匂い。本当に始まりましたね。


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仕込み1本目の添麹を露地放冷しているところです。これから一つずつ、今年のお米の具合や蒸し上がり、麹の感触などを確かめながら日々の酒造りが進みます。

今年も美味しい松の司を皆さんにお届け出来るよう励みますので、楽しみにお待ちください。



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by matsunotsukasa | 2020-10-15 17:32 | 日記 | Comments(2)

『土から考える松の司』 〜第5話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。

前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




複雑なもの

ーー最後になるんですが、これからこの竜王の土地の『土』っていうものについて、どんな風に見つめて行こうと思ってますか?


石田
土地を表現するってホントはもっと複雑で、その一つ一つのファクターが何たるかを知りたいわけやん。


ーーはい。


石田
んで、竜王ってとこに限らず畑がある、田んぼがあるっていうのは・・・、田んぼはもうただの土じゃ無くて、ここに入植して来て、湿原を耕して、ずっとここに住んできてやっと米を、やっとその生業としてずっと続いての、やっとやん。

東条とか粘土粘土て言うけど、あそこなんかもうとてつもなく古い栽培地なんやな。だから意志が伝わんねん。


ーーうーん、意志ですか。


石田
人と土地の接触っていうのは、対話って言い方も出来るけど、ずっと何千年も対話してるからそこに文化があったり歴史があったりっていうことやん。それはさぁ、単純じゃ無いやん。


ーーはい。


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石田
例えば砂か粘土かで言えるほどそんなシンプルじゃ無いし。日本酒の、個人的に一番問題を感じるのは、やっぱりシンプルなんやな、何か。

米を使ってて、日本の文化の中で日本人の信心のために・・・日本の信心の大元は天体なんやけど、まぁアマテラスとか、そこを元にするくらいのことから始まってんのに、造ってんのはもっと無機質なもんをクラフトとして熱心に目指そうとしてるやん。


ーーシンプルっていうのはすごく表面的な、技術的なことに終始してるってことですか?


石田
ファクターを絞り過ぎかな。米1種類、水1種類、酵母まで1種類、もやし(=麹菌)も1種類で。土壌っていうのは複雑多様やん。そんな砂、粘土だけで言われへんやん。だからといって言葉に落とせるもんでも無いし。太陽、気候なんてのもそうやん。だけど自分は仕事としてそれを形に落として行かなあかんから。

複雑なことを綺麗にシンプルに見えるようにして、複雑なものを造らなアカンねんけど。複雑なことをただシンプルになってしまったら・・・、ただただ“アルコール水”になって行くわけやん。


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地図のゴール

石田
だけどその(複雑性を造る)比較要素っていうのは、砂、粘土、あともう少し違うファクターがあるかも知らん。で、それを知った上で、ここの会社の人が、ここの地域の人が、造ってる人がどんなもん飲んで来て、どんなもん食べて来て、こういうもんを造りたいっていう地図のゴールを見付けたら、そこへ向かうのに車使うのが良いんか?自転車なんか?歩くんか?が見えるやん。でも現時点でそれが見えてへんくてさ、とりあえずみんなと同じように車乗りましょう、国道使いましょうってナンセンスじゃない?


ーーええ。


石田
もしかしたらブレンドとかが良いんかも知らんよ。でもブレンドして何がし混ぜたらエエんかっていうんじゃ無くて。それも蔵元の1代か2代でしようとは思わへんけど、ここの人が、ある種好んでこれが飲みたいって強く思った上でのゴールがあって・・・。それに対して「粘土メインやなぁ」とか、そこへ繋がるのに「この要素があったらエエなぁ」「熟成がたくさんあった方がエエなぁ」とかっていうのが見付かったら、それが誰も飲んだこと無い感じにはなるやろうと思うけどなぁ。


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石田
それがブレンドじゃ無くっても、とにかくエネルギー感を高める状態が大事で、それが何かって言うたら自然のことやと思うんやけど。その・・・、こっちからこう土をすくって来たもんがあって、それを形に落とした違和感の無いもん。


ーー水の時も言ってた違和感の無いもん。


石田
だからそれが結局巡り巡って美味いもんやと思うんやけど。


ーー単純に味覚的に美味いだけじゃ無くて、そこの土地に素直にリンクして成立してる美味しさですよね。


石田
うん。そういう理由で無農薬とかが必要なんやって言うのは賛成。痛めてへんから。だから無農薬が要るんやってのは正しいと思うけどなぁ。


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1つの答え

石田
何がして行きたいかって言ったら、自分なりには水にしても土壌にしても、もっと分解して一つ一つの要素を、その上で統合して行って・・・。どの部分がどう他所と違って、酒になった時にどう影響するかっていうことやんなぁ。


ーー水も土も、一つ一つ自分たちのことを知っていく作業ですね。


石田
こっちで知っていくことにお客さんがついて来てくれて、農家の人たちもそこにモチベーションを持ってくれたらなぁ。

それで最終的には複雑なもんを、シンプルに見えて複雑なものをどう造って行くかっていうことがしたいよね。ほんで、土のテロワールシリーズにしても、水をいろいろ考えて使うのも、自分としては1つなんやけどね、肝になるのは。

酵母の話しを訊かれても多分同じように答えると思うし。複雑性を見せたりとか、ここの元々持ってるもんを素直に表現しようと思った時には、金沢かもしらんし、生酛かもしらんし・・・。どれが1番良いとかは全然ないから。


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インタビューはこれでお終いです。『土から考える松の司』いかがでしたでしょうか?

今回は『土』という要素を掘り下げる中で、“微細だけど確かにそこにあり続けるもの”を一つ一つ見つめながら確かめながら、“複雑なものを綺麗にシンプルに見せながら複雑なものを造る”という石田杜氏の中にある大きなテーマが見えて来ました。

どこまでも続くであろう杜氏としての、酒蔵としての、松の司としての探究が、皆さんにお酒という形で届きその味わいから伝わることを心から祈っています。



<終わります>








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by matsunotsukasa | 2020-10-02 11:51 | 日記 | Comments(0)

『土から考える松の司』 〜第4話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。

前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




弓削から学ぶ

ーーそれにしても今年は思いがけず弓削(地区)が個性的な仕上がりでしたね。


石田
うん。そう言うことが出てくるんやろうと思う。今まではこっちが想定するだけやったから、ただの二元論やん、“砂利”なんか“粘土”なんか。

最初言ってたみたいに耕作土のその粒子の大小。それとその混ざり具合の割合やって話しなんやけど、弓削っていうところ(土壌:粘土+砂)が意外に・・・、この前の洪水あったみたいに、元々琵琶湖の底やったとこやし、川の浸食も結構受けてるところやから、粘土が流れ込んでたって耕作年数が長くたって、結構軽いんやんな。


ーーそうなんですよ。近くの橋本(地区)とか林(地区)とかから想定したイメージと違うんですよね。面白かったんですよね。


石田
これが(土壌別仕込を)長いことやればもっと違う人が違う切り口で見つけられることがあると思うねん。

ほんなら、ブルゴーニュの“グランクリュ”と“1級”の格付けがあって、その年単年で見たら1級がグランクリュを超えることもあるし。だから最初にそこに入植したもの凄くテイスティング能力のある人が「こっちグランクリュ、こっち1級」って簡単にうねで分けれるかって言ったら無理やんそんなん。

日本酒なんかもっと無理やから。やけどきっと米でも村ごとやったら瞬間風速的にはきき酒で判断出来ませんでした。だから(個性が)無いっていうのでも無い。今年は差がありませんでしたって言うから差が無いっていうわけでも無い。

で、何人もの人が何人も同じ眼差しでもって、ずーっと続けて行ったら、実は動かんもんがあるはずやから、それのことを文化とか土地の個性、残すべきその土地の表現、キャラクターって言って良いんやと思う。


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石田
だからある日突然、誰かがそういうコンセプト見つけました。発見者です。全部分かりますよって言うて、実際分からへん時もあるけどまぁ大体やれば分かりますって、そんなんじゃ分からへん。

分からへんねんけど・・・、そこに何かは必ずあって、それは何年間、15年やってもあるって信じられることがあるから。その細かいことを次の経営者の人もやって、それを愛でて楽しむっていうのが文化やし、それがブランドやと思うなぁ。


ーー木の彫刻じゃないですけど、ずーっとちょっとずつ触っていったら、その中に埋まってる形が見えて来て、なるべき形になるような。


石田
うん。弓削の話なんか全くそうで、最初の想定あるやん。それは自分なりの方法論でシンプルに考えて、みんなに伝えていって、やってみて、新たなとこを造ってみたらそれだけじゃないなってものが出て来るわけやん。じゃあこれは何じゃろな?って。

また3年くらいやったら、それが弓削だけじゃなく林(地区)もそうやわ、「あっじゃあ川が近いからか」とかあるやろうし。林には無いけど弓削だけにあるんやったら、洪水とかで水に浸かって表面が洗われてんねやなって。それで表面の肥料具合の違いが大きいんやってなったり。

もう3年やっただけで弓削がちょっと違うねって出た時点で、物語が1ページ増えるわけやからなぁ。


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積み重ねた文化の上に立つ


石田
だからさ、いきなりそのワイン好きの人とかがブルゴーニュと比べてどうとかって話になりがちなんやけど・・・。ブルゴーニュは何千年もそれ(土地を見続けることを)やって、それだけの市場価値があって、プロモーションもやって、(確かにそこに)“あるもの”ってなってるやん。

で、みんなが“分かってるもの”ってなってて。じゃあそれが何の上に立ってっるかって言ったら、プロモーションと歴史、その歴史の上に今立って楽しんでるから、それが文化やん。あっちはもう2,000年近くやってるからなぁ。こっちは(山田錦を)栽培してるところで40年くらいやんか。だから今はこれで十分なんやと思うよ。


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石田
現にブルゴーニュでさえコート・ド・ニュイとボーヌ(=南北に隣り合う2地区)さえそんな分からへんよ実際。やけどしゃべる時はその違いがあるように、もう臨済感としてあるのはこれ文化やんなぁ。ブランドやんなぁ。


ーーみんなが信じてることですよね。


石田
もう「ブルゴーニュ」「テロワール」ドーン!ってあるやん。

これは絶望とか失望して言ってるわけじゃ無くって、味覚のウェイトだけに固執して間違って捉えられるのは生産的では無いから・・・、焦らんと、今はそういう「弓削違いましたね」っていうようなことを積み重ねて行くべきなんやろうと思うけどなぁ。

もしかしたらやけど、10年くらいして「粘土っていうんじゃ無かったね」っていうのでもそれはそれで良いんじゃ無いかなって、それで十分。



<つづきます>



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by matsunotsukasa | 2020-09-29 11:46 | 日記 | Comments(0)

『土から考える松の司』 〜第3話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。

前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




ブルーの手応え

ーー昨年度の造りでブルー(=純米大吟醸 竜王山田錦)の土壌別仕込も3年目になりましたが手応えはいかがですか?


石田
手応えは想像以上。


ーーおぉ。元々そのお酒の仕上がりについて思い描いてた範囲以上というかこんな感じになるかっていう。


石田
あっ、出来について?


ーーまずは、はい。


石田
酒の出来については特別なことも無いし、どれかに手一杯手をかけてってわけでも無いやん。連続性の中で出来ていく・・・、やから出来についてはその年々の範囲でちゃんと満足出来る範囲かな。

やけど、1個1個の土壌ごとに分けて仕込んだ時の差っていうのは、まぁ知ってるやん。自分自身は。それは想像出来るんやけど。それを世の中に出しても良いんかなってタイミングやから出したんやけど、それを面白がってくれる人が増えたってことについては・・・。


ーー想像以上。


石田
うん。そう。


ーーもっと反響は低いかなって思ってました?


石田
じゃないかなって思ってたよ。だって金沢酵母を18(=きょうかい18号酵母)に変えたら誰でも分かるやん。フレーバーが変わるっていうのは。だからよく米違いとか田んぼ違いするのに酵母変えちゃうわけやけど、それはしたく無かったし。


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曖昧なことを差として楽しむ


石田
(土壌別仕込は)ワインのブドウの品種が違うのとは違ってフレーバーが違うわけじゃ無いから。どっちかっていうと舌触りとかテクスチャーの違いやし、そのテクスチャーって“肌触り”みたいなのと一緒やから・・・。


ーー分かり難くて曖昧といえば曖昧ですかね。


石田
そう。曖昧なことを楽しむとか、それを差として捉えて話題の中に取り込むような状況があるんか?っていうのはあったけど。自分もワインのお陰やと思うんやけど、日本酒飲む人でもそういう風に捉えてくれるようになったってことじゃないかな。


ーーはい。


石田
前はもっと、生かどうか?生原酒かどうか?吟醸かどうか?とか・・・。


ーーええ。味が重い軽い、甘い辛い、分かりやすい味覚の中の話しですよね。


石田
そういう意味ではいろんなテクニック的、製法的な商品の差別化みたいなんが飽和しちゃったから、自分たちが本質やと思ってる米のこととか、地酒にとって本当のローカリティーっていう方に目が向いてて。そこに自分らがものを出せる状況にあるから、どうかなって思ってやてみたら、ちゃんと反応してもらえた。


ーー日本酒の市場として大分成熟してきてるってことですよね。


石田
そうそう。だからむしろその(=酒の)出来について飛び切り良くてもアカンと思ってるんやわ。ブルーに関しては。極端に言うと「これ何で出来たんかなぁ?」みたいな・・・。

ものによってはさ、個人的にきき酒向きやとか、分かりやすくて良いなぁとか思うやん。思うけどそれがブルーに出て来てもうたら本意じゃないよね、やっぱ。


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微細だけど変わりようのないこと

ーーコントロールし過ぎない方が良いってことですか?


石田
えーっと、別に普通の出来で、山田錦の出自が普通に表に出て来てくれんと困るやん。


ーーあぁ、はい。


石田
酒のその出来そのものがウンと抜け出ちゃったりインパクトあるようなものになると。もう、すぐ消えてしまうくらいデリケートであるか無いかわからんようなもんやからなぁ、そもそも。


ーーこの土壌別仕込でやろうとしてるテクスチャーの違いっていうのがですよね。


石田
そうそうそう。


ーーそうなるとあまり印象やアタックの強いものでは逆にダメですね。


石田
そう。そういうコンセプトは楽(=純米吟醸 楽)とかも一緒やけど。

ただブルーに関しては土壌の微細なところを・・・、微細やけど絶対に変わりようの無いことやん。小っちゃいことやけど、ずーっとこれをやり続けたら自分らが仕事辞めたり出来んくなったとしても、何も変わらんと(そこに)あることやん。


ーーはい。


石田
お地蔵さんがそこに居るみたいに。

そやから1年だけポコッと出来るようなもんは実は別に凄く無いけど、ずーっと差が無いことやけど差があって変わらへんもんて強いから。それを素直に出す(=表現する)ことがコンセプトの酒やから。むしろ普通の仕込みで普通に仕上げて・・・。そりゃしくじりたくは無いけど(笑)


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個性の仕立て

ーーこれまで土壌ごとに造り方(=酵母、醪管理など)を全く変えずにその差を見る方向でやって来たじゃないですか。もうちょっとそれぞれの個性が表に出やすいように仕込み方を変えてあげる方向もあるかと思うんですが。


石田
あぁー、そうしたら良いタイミングはもちろんあるんやろうけど、まだもうちょっと全部揃えてやってみようかなって気はするなぁ。この間の『水』の話しと一緒で元ある姿にどう仕立ててあげるかやん。


ーーはい。


石田
土壌をあるべき姿で、その・・・最大限にしてあげることについては間違え無いやん。

細身の米には細身で、ガッチリとストラクチャーのある米にはもっと大きな肉付きをあげた方が良い姿があるかもしらんけど・・・、今はどっちかっていうと細身の人にも体格大きい人にも同じ制服を着せてみて「右の人と左の人違うね」って。

個性っていうことから言うと、自分らのポリシーの範囲内やったら、お約束として金沢酵母で麹の造りはこのくらい、醪の経過はこのくらいっていう・・・、それをちょっとずつ触ってあげて良いプロポーションに合うのが見付かればなぁ。


ーーうーん。


石田
どうしようかなぁと思うところもあったけど、まだ見えてへんて言うのもあって。


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石田
逆かもしらんしなぁ、山中(地区)みたいに細身の砂地の山田錦にフワッとしたんが良いかもしらんし・・・、駕輿丁(地区)みたいに元々ギュッと詰まったやつにもっとタイトにしたんが密度感持って無駄なもん削いで出来るかもしらんし。


ーー筋肉質の人がパッツパツのTシャツ着て身体のライン見せるような感じですね。


石田
そう、そうねん。だからそんなんて何かさ、「こうや!」て思ってやってもアレやから、何となくしようかなと思える時を待ってるって言うか・・・。もしちょっとでも思うところがあったらしてるやん、きっと。


ーーえぇ。素直に見ていきながら、良い仕立ての取っ掛かりが見えたらですね。



<つづきます>



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by matsunotsukasa | 2020-09-25 13:11 | 日記 | Comments(0)

『土から考える松の司』 〜第2話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。

前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




ブルーと花伊吹

ーーウチのお酒に使っている酒米は主に竜王町産それと兵庫県産ですが、あらためて竜王と兵庫それぞれの土壌ってどんな土壌でしょうか?お米やお酒への影響も含めて。


石田
前に、「花伊吹」っていう商品があって。ブルー(=旧・純米吟醸 竜王山田錦)をタンク1本、花伊吹をタンク1本って構成やってん。


ーーPBとかじゃなくてウチの商品としてですか?


石田
うん。で、花伊吹は兵庫県の山田錦(精米歩合)50%で、ブルーは竜王の山田錦(精米歩合)50%っていう。

だからその頃から竜王の山田錦と兵庫の山田錦の純粋な比較が出来たわけ。


ーー酵母も造りも一緒だったんですか?


石田
全く一緒。だからその時に50%同士で比べたら、やっぱり花伊吹はムッチリしてるし、竜王の方はちょっとサラッと硬かったりグリップが弱かったんやわ。

それで15、6年前かな、兵庫の田中さん(=兵庫県の旧東条町 特A地区で酒米栽培を行っている「こうせつ・たなか」)とこに田植えに行ったり、1、2週間くらい手伝いに行ってて、さすがにその頃になったら竜王の酒米部会で田んぼ回って見る土と、田中さんとこの東条の特A地区の土が全然違うのが分かるやん。

その頃はもちろん東条(の山田錦)が良いって話やったけど、良いんであればじゃあ何が違うんかっていうのは、「(竜王は)あっ砂がかんでる。砂利が多い。」で「(東条は)純粋な青みがかった粘土」っていう一番シンプルな分け方がその時に出来たかもしらん。


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東条より複雑な土地

ーーその他にも感じる竜王と東条の土の大きな違いっていうのは?


石田
専門家じゃないから実務とか米を使ってる上で言えるのは、やっぱり砂利がかんでるか、純粋な粘土か。あと東条の方はモンモリロナイトっていうもの凄く粒子の細かい陽イオン交換力がでっかい多孔質の土なんやわ。


ーー保肥力、保水力がすごく高い土ですか。


石田
ウチとこ竜王の山中(地区)を例に出したら、もう見た目から白いやん。ジャリジャリしてるやん。長靴で田んぼに入っても、そんなロングの長靴の上から土が入ってくる程じゃないやん。


ーーそうですね。僕も東条に手伝いに行った時、ちゃんとした田植え靴じゃなかったら足がドボンと入って抜けなかったです。


石田
んで、東条は上東条ばっかり行ってたけど、北の一番良い手の少分谷、黒谷、秋津、もうあそこら辺の良いとこばっかり行って言えるのは、谷の方角が違うだけで土はどっこもその粘土なわけ。割合均一にずっと粘土なんやわ。

ところが竜王っていうのは素人目にも赤い土があったり、白い土があったり、平らな沖積土で覆われてる所でもその真ん中に駕輿丁(地区)みたいに粘土が隆起してるとこあったり。

だから実は東条よりも複雑やったってことかな。


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みんなが活きるベクトル


石田
それまでは兵庫を第一義、特A地区を第一義ってしてると、東条の状態からいろんなファクターが外れるだけ品質が劣るってういう話ししかしてへんかったわけ。

「粘土じゃない」で一段落ちる。「中山間地じゃない」で一段落ちる。「琵琶湖の逆水で流れ込む水が温い」でまた一段落ちるってことになるんやけど・・・。これもワインから来る“テロワール”っていうことがあって。みんながボルドー、みんながブルゴーニュのグランクリュになる必要は無いやん。

日本酒もそうで、それまでは「砂やから一段落ちますね」やったら極論で言えば使わんようにしなあかんとかなってしまうんやけど。じゃあ砂の山田錦は何やろうか?竜王なりの平地の粘土の山田錦は何たるか?っていう風にベクトルを変えるとみんなが活きると思う。


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個性が生まれた20年

ーー何年か前に石田さんに連れられて竜王の田んぼ回って「ここの土はこう」「ここはこうやろ」って説明してくれた、あの一個一個の地区の特徴もずいぶん前から掴んでたんですね。


石田
そうそう。それも15、6年前から。世代もあるかもしらんけど昔の年寄りって良くも悪くもようしゃべってくれたやん。「あんたのとこはこうや」とか「俺はこう思う」「俺はそうは思わん」とか。その会話の中で、ここはこう、ここはこうっていうのが分かってくるっていうか。田んぼ回ったら凄い教えてくれたしなぁ。

ほんで自分がここ(=松瀬酒造)に入った20年前くらいが、竜王で山田錦を栽培始めて20年目くらいやったんかな。まだ稲がコケまくってた時からの20年やから、とにかく稲をコカさへんとか兵庫が第一義っていうのがあったんやけど。


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ーーじゃあ、段々とこの20年で竜王で栽培出来るやり方でっていう風にシフトしていったんですかね。そうすると尚、それぞれの個性がそこに出てくる方向ではあったんですね。


石田
うん。だからそれをやっぱり農家の人にも伝えて表に出す方がモチベーションになるし、自分たちのブランドにもなるし。

なんぼ「最高の食材を揃えてます。美味しいでしょ。」の方向を行っても、どこまでも「大間のマグロ握ってます。」なんやけど、この会社とか日本酒っていうのはどこまでもローカリティーを追求する職種やん。


ーーはい。


石田
「最高」っていうのんて基本どれだけローカルなもんかってなると、砂の山田錦を持ってる人がモチベーションを上げられる。ローカリティーを表現するっていうのは自分らが酒に落としてプロモーションすることやし。

赤土のところは一時、米が痩せやすいからやめてくれって言ってたんやけど、また植えて欲しいって言ってるのは、もしかしたら特殊な表現があるかもしらんからやん。農家さんには今更って思われるやろうけど、でも今までみたいに「それ(赤土の山田錦)を表現するようにします。」って言わんかったら、農家の人も生産性も悪いし、(兵庫に比べて)良い山田錦が出来ひん良いか悪いかだけになるし。

等級の1等、2等しか無かったところに、土地を介して、この土地の人が土地と結び付いてるところで、その土地を表現して欲しいっていう。


ーーすごく前向きなベクトルだと思います。



<つづきます>



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by matsunotsukasa | 2020-09-15 12:05 | 日記 | Comments(0)

『土から考える松の司』 〜第1話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものを肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

それらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、松の司というお酒を構成するいくつかの要素を深く掘り下げることで、そこに宿る輪郭や独特の空気感をお伝え出来るのではないか?そんな思いからスタートした『○○から考える松の司』。

前回の『水』に続き今回は『土』について掘り下げるべく、「土壌別仕込シリーズ」を軸に当蔵の石田杜氏へのインタビューを行いました。その模様を5話に渡りお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




「米」は「米」、じゃ無い

ーー今回『土』というテーマでお話を伺うんですが、今の松の司を語る上で欠かせない「土壌別仕込シリーズ」を始めようと思ったきっかけって何だったんですか?


石田
元々ワインが好きやし、土壌がどれだけワインに影響を与えるかっていうことにそもそも興味はあるやん。それが大きいかな。

ここに勤め始めた時に、一番最初は精米から入って・・・。まず自分が生まれ育ったところ(=京都)はそんな田んぼが一面に広がってる所では無いし、京都市の街中ってわけじゃ無いけどここ(=竜王町)に来るまでは「米」は「米」やってん。


ーー魚でいうとスーパーのパックに入った切り身の魚が魚みたいなことですか?


石田
んーと、米の品種があることは知ってたけど、もっと小さい中でどこの土地の米が美味いとか、もち米屋はここの農家に限定してるとか。そういう感覚って・・・、聞いたことはあったけど米って日本人にはあんまりにも身近過ぎて、そういうことを知らんかったんよね。

それで、自分がここに来た時はまだこの会社で働いてる人に農家の人たちがいて、「どのそこの米が美味い」とか言うからそうなんかと。新潟とか、滋賀とかは思っても、この竜王町の中でも米の違いがあるんやなって。すごい当たり前のことなんやけど、そこに初めて気が付いたんやわ。


『土から考える松の司』 〜第1話_f0342355_11454657.jpeg



色味が違う硬さが違う


石田
んで、最初の1、2年は精米担当やったから、昔の機械(=精米機)を触ってると、「米」は「米」のつもりで放り込んでるのに精米時間が1時間とか2時間変わったり。


ーー米の削り上がりの時間が同じ品種でも?


石田
そう。しかも同じ「山田錦の1等」っていうので来てるのに色味が違う。それは何か当たり前の話なんやけど、それが今質問してくれてる“土壌の違い”っていうことの直接の答えじゃ無いんかもしらんけど、京都から来た農家とか全然関係無い男が、同じ竜王町で採れた米に色味が違うとか硬さが違うとか、結構「あっ!」ってなるよね。


ーー考えてみればそうだけど、分かってるようで肌で分かってなかった発見ですね。


石田
うん。でもそういうことっていっぱいあるやん。


ーーそうですねぇ。


石田
自分にとってはその時そうやって。もしかしたらこの会社でも当たり前と思ってること、農家でさえも当たり前やと思ってることが実は“違い”やと見せられるんじゃないかっていうのは芽生えたし。その大元の種はワインやったかもしらんなぁとは思うよ。


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味覚と農作業とのリンク

ーーじゃあ、そうやって土から来る違いっていうのを意識したのは、ここで働き始めて割と最初の頃からだったんですね。


石田
あぁ、でも土壌やろうなぁとは思ったけど、そこまでハッキリとは思って無くて。ただこの竜王町内でも場所で味が違うとかっていう認識が、産地の人にはあるんやっていうのは目から鱗やったけど。

土壌で言うと、今やってるブルー(=松の司 純米大吟醸 竜王山田錦、土壌別仕込シリーズ)で言ってる「砂」「粘土」っていうことを最初に「あっ!これは確かにそうなんや」って思った瞬間は・・・。

あの、何年かまぁそういう山田錦の1等やっても違いがあるっていうのは分かってきたと。んで、味もやっぱり硬い米の方はサッパリ淡白に上がるし、やわらかい米は結構ムッチリ上がるっていうのが・・・。


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ーーそれはお酒の味として?


石田
そう。酒の味として作り分けるように商品によって米を選んで当てがってたから分かったんやけど。それが何でやろうっていうのは、田村仁一さん(=竜王町酒米部会の重鎮)と宴会でしゃべってる時に「駕輿丁の米だけが兵庫に近いんやけど」って言ったら、「あぁ、それはあそこだけ粘土が隆起してんねや」って言われたんやわ。そしたら他の年寄り人たちも「ほうや、ほうや」ってなって。


ーーへぇー。


石田
だから自分は実務として精米の方で、あと味覚上それをそうかなっておぼろげに思ってて。あの人たちは味覚は関係無いところで作業上の現実問題として、駕輿丁のとこだけ粘土が隆起してるって言うから、「あぁーなるほどな」って。それはワインではよくある話やから。

これをちゃんと突き詰めたら酒の種類別として成り立つんじゃ無いかなってのはずっとあったなぁ。


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ーーそれっていつ頃のことなんですか?


石田
もう15、6年前じゃないかな。でもその頃はまだ世の中的にもそんなことしゃべっても誰も聞いてくれへんし、自分もそんな立ち位置じゃ無かったしなぁ。

米が土地によって違いがあるっていうのはあっても、まだ大きくは竜王は竜王、兵庫は兵庫やったから。

だから“土壌別”の元の種はかなり前よね。



<つづきます>



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by matsunotsukasa | 2020-09-08 16:33 | 日記 | Comments(0)

『水から考える松の司』 〜第3話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものについて、肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

現時点でそれらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、当蔵の石田杜氏がここ数年取り組んできた“水”と言う観点から何かその裾にでも手が掛かるのでは無いかと感じました。

そこで『水から考える松の司』と題しまして、松の司のお酒全体に共通する“味わい”であり“何か”を、その仕込水から考えてみようと石田杜氏にインタビューを行った次第です。その話は水についてだけには留まらず、“井戸とは” “地酒とは” “理想の味わいとは” というさまざまな思想がふんだんに詰まったインタビューとなりました。

そんな新鮮な記録を3話に分けてお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




均整美

ーーウチのお酒って“キレイ” “クリア” と表現されることが多いと思うのですが、今うかがった松瀬酒造の水の質から考えるともう少し重いというか力感やエッジがあるような、若干お酒とのイメージの違いを感じます。


石田
人がキレイという時に、特に日本酒業界でキレイっていうと肉薄で、ゴツいっていう時は味がガッツリしてるっていうのはあるけど、それとは違うところで“均整美” があったとしたら・・・。

水がサラッと流れる細身のキレイさもあるし、割合米を溶かして(=味がゴツく)てもキレイなところがあるから、そういう意味で、こう・・・味をまん丸にはしたいなぁ。違和感の無いっていうか。


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石田
若いのに年寄りみたいな人もおかしいし、細いのに肉付きあるような格好しようとしても無理やし。だから自分のところの水とか、テクニックとか、好みに即したカタチで「あの人、違和感無いなぁ」っていうのを。

全体としてキレイって言われるのがベストやと思うけどなぁ。そういう意味でキレイやと良いなぁ。

水って人間でいうと育ちみたいなもんで、育ちがあってそこの骨格に対して肉付きがあって、その全体の肉付きとか育ちに対しての、仕立てとか服とかデザインが出来たら。上品で違和感無いんやけど、他の人と並べた時に「あぁ、あの人やっぱりどの人と並べても違和感無い」っていうか・・・。


ーーえぇ。四角い水を丸く包むことで感じられるような自然なキレイさってことですかね。


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偉大な普通


石田
ちょっと話しそれるけど、ワインのブルゴーニュのシャルドネが何でそんなに凄いんかなって思うやん、やっぱり。シャルドネで比べた時にムルソー(=フランス・ブルゴーニュ 地方にある産地)の1級があって、世界で1番有名なシャルドネの良い畑なんやわ。

・・・普通ねん、ホンマに。

造り手も良い造り手で、口の中に入れたら普通ねん。シャブリ(=フランス・ブルゴーニュ地方の最北の地区)の方がやっぱりエッジ立ってたりキャラ立ちしてるし、あともう一つカリフォルニアかどっかのそれも良い造り手やったんやけど。もう1回隣のキャラ立ちしたやつから普通のやつに戻ったら、いつまでも上品に普通なんやわ。

でもただの普通のやつを持って来たら普通のやつはどんどん下がっていく。やけどホンマにバランスが取れてて落とし所を持ってるやつは普通に見えるけど下がらへんのやわ。


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石田
だからアレがどんなトレンドになったとしても残る酒なんやと思う、多分。潜在的なポテンシャルはもちろん必要なんやけど、その姿をどう見つけてやるかっていうのがね。

ブルゴーニュなんて数限りなくテクニックを使ってるわけやん。だから世界中が真似するんやけど、やらしいねん。だからテクニックとかそういうもんを「普通やなぁ」って、全部が均整美が取れてるのを追ってくのは歴史も要るし、それを造っていくだけの造り手側の素養やんな。


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ーーテクニックっていうのはそういう意味で必要なんですね。何か色を一生懸命つけるとか、特徴的な新しいものを生み出すんでは無くて、ホントにキレイな丸をどれだけ描けるか。どんどん透明に近づいていく技術のような。


石田
やろうと思うよ。何でも言われてる話やけど。

楽茶碗とかもそうやと思うわ、黒楽茶碗。アレは典型で、あんな普通のモワンとしたやわらかい黒だけの茶碗の何が凄いねん?なんやけど何を横に持って来ても下にならへんのやわな。そういうことなんやろうと思う。


ーー・・・偉大な普通。


石田
うん。偉大な普通。でもただの普通じゃ無いねん。自分の持ってるもんへの理解よな。

米に関してはこっち側で色々出来ちゃうから、持って来ることも出来るし。処理をしてるわけやから。話とか論文とかもいっぱいあるやん。ただ水に関してはそんな話が無いからなぁ・・・水は水ってなってしまってるから。

そこについて詰めていけば、何か自分として日本酒についてもっと面白く出来るんじゃないかっていうのがある。


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“らしさ”って

ーー現時点で石田さんとしてはその理想のカタチにどこまで近づけてるんですか?


石田
いやぁ・・・一応造ってるからさ。春終わった時点では、現時点での最高到達点やと思ってはいるけど、結局秋ぐらいになったら意外に変わってなかったなぁとか、やり過ぎたなぁとかあるから。

毎年毎年はアレしよう、コレしようってやってみるけど「コレ当たり」っていうのは分からへんからなぁ。一個一個シラミ潰しにしてるつもりやけど一個やったらまた一個出て来るし。

造ってるとやっぱり子供みたいなもんやから。目に見えてるところから出て来て、良くあって欲しいわなぁ。絶対良い奴であって欲しいって思うやん。でも実際はそんなことは無いわけで(笑)。


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ーー今回お話を聞いてて、石田さんの中で“松の司らしさ” っていうのは“この味わい”っていうものじゃ無いんですね。


石田
無い、無い、無い。

“松の司らしさ” ってそりゃあったと思うよ。前の杜氏さんとか前の前の杜氏さんの時から。今まで話した中にもあったやろうし・・・。う〜ん、でもこの敷地内でその時々の従業員が一生懸命に造ったら、それが瞬間風速的な“らしさ” やと思うし。

それを超えて何か違うものも造られへんし、そこ超えて造っても良く無いしなぁ。だから、そういうもんを皆んなで担保しあってるのが良いんじゃないかなぁ、多分。




インタビューはこれでお仕舞いです。『水から考える松の司』いかがでしたでしょうか?

今回追い求めてみた“松の司らしさ” やその“味わい” というのは何か特定の個性にあるようでいて、絶えず変化しながらも一つの姿を保とうとする松瀬酒造という渦の瞬間瞬間を捉えた写真に映るようなものなのかもしれません。

自分の蔵の“水”という大切な一つの要素を探求する中で触れた、今この瞬間の松の司を、皆さんにお伝え出来たなら幸いです。


<終わります>






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by matsunotsukasa | 2020-06-04 07:58 | 日記 | Comments(0)

『水から考える松の司』 〜第2話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものについて、肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

現時点でそれらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、当蔵の石田杜氏がここ数年取り組んできた“水”と言う観点から何かその裾にでも手が掛かるのでは無いかと感じました。

そこで『水から考える松の司』と題しまして、松の司のお酒全体に共通する“味わい”であり“何か”を、その仕込水から考えてみようと石田杜氏にインタビューを行った次第です。その話は水についてだけには留まらず、“井戸とは” “地酒とは” “理想の味わいとは” というさまざまな思想がふんだんに詰まったインタビューとなりました。

そんな新鮮な記録を3話に分けてお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




理解してデザインして着せる

ーーこれまで日本酒ってお米にフォーカスされることが多かったように感じます。でも日本酒ってほぼ8割が水で。
今、石田さんのお話を聞いているとお酒を造る際に、真ん中に水の性質があって、お米などの原料で良い支え方をしてあげるようなイメージになるんでしょうか?


石田
女の人で例えたらあれなんやけど、全部体重を測って服以外は8割が人間の裸の体重やからって「8割裸やん」っていうのはそれは違うやん。ブランド物の服着てるあの人ステキやなって思うとして、ステキな理由はその2割の服のせいってそれも違う。

中身のその骨格とか肉付きがあってそこに合うもんがあるから、全体としてキレイなわけで。だから裸だけでも醜悪やし、服だけでもやらしいから。

そう、米だけ、酵母だけの仕立てのテクニックだけやとやらしい。中のその・・・もしかしたら長いスパンで見た“育ち”なんかも知らんけど、そういうものを理解してデザインして着せるっていうのがホンマの造りのあり方やと思うんやけどなぁ。


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松瀬の水

ーーウチのお酒を造っていく時のイメージというか、土地を仕立てていくイメージは今うかがったことで良く理解出来たんですが、ウチの水自体の個性というのがどのようなものかうかがいたいです。


石田
一番、日本酒業界で良いってされてる酒の姿は細くて余韻が短くて、口の中の質量が少ないもの。サラッと消えて、口の中をサーっと抜けてくやつ。ウチの水の場合は、入りは軽く入るんやけど口の中でグッと重い。


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石田
鶏のササミと脂身を剥いだモモ肉を食べたら、やっぱりモモ肉の方が風味も強かったりするやん。


ーー力感とか重量感はありますね。


石田
高硬度の水とかって分かりやすくって、マグネシウムは苦い、カルシウムはまったりする、んでカリウムは割合塩味っぽいんやと思うんやけど。これは口の中に当たった時に分かりやすいっていうか・・・。


ーー味として捉えやすい?


石田
うん。ウチとこのは硬度は低いから、入りは結構サラッとクセ無いんやけど、後で味じゃ無いところのゴツって骨張ったような、味のカタチとしたら四角っぽいもんが舌に乗る。だから滑らかでは無いよなぁ。

さっき言った隆兵さん(=京都市の桂にある「隆兵そば」)とこの水と比べると特にそう思うわ。硬度が一緒やから余計に。


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骨格と肉付き

ーーそれがお酒になった時、味わいとして出て来やすいクセってどんなものですか?


石田
筋肉質なんやと思うよ。純粋に。

男の細い柳肩の人になんぼゴツイ筋肉付けても無理があるやん。それで言うとウチのはやっぱり骨張ってるし。


ーーそれは味わいとしての渋味や苦味とかとはまた違うんですか?


石田
逆に骨格の大きい人を無理に細くしようとすると、やっぱり歪やしギスギスした感じになるやん。

だから米でその肉付きって造ると思うんやけど、ウチの場合、こっち側から肉付きをいっぱい付けてやっても、そんなにダレた感じにならない。細い人に無理に肉付けようとするとただの肥満体みたいになると思う。


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石田
前までは、自分が「磯自慢」好きやったり、肉付き細くしようと米の吸水率を下げて、麹もシメてハゼ周り少なくして、麹の力価を下げて味を減らす。米の溶けるのを減らすってしてみたけど、良いことが無かったんやわ・・・。

そうすると苦いから。それは水のせいじゃなくって。

もしそれが細い骨格の水で、肉付き少なくしてやったら、水を飲むみたいにサラッと流れてストレスなく口に入るかも知らんけど、ウチの水は割合飲むのにも体力要るから。それをサラッと飲まそうってのは無理で、飲むのに体力要るけど、それはそれで個性やからそこに肉付きを持たせてやっても良いんかなって。

今はそう思ってるけど。



<つづきます>






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by matsunotsukasa | 2020-06-03 12:00 | 日記 | Comments(0)

『水から考える松の司』 〜第1話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものについて、肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

現時点でそれらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、当蔵の石田杜氏がここ数年取り組んできた“水”と言う観点から何かその裾にでも手が掛かるのでは無いかと感じました。

そこで『水から考える松の司』と題しまして、松の司のお酒全体に共通する“味わい”であり“何か”を、その仕込水から考えてみようと石田杜氏にインタビューを行った次第です。その話は水についてだけには留まらず、“井戸とは” “地酒とは” “理想の味わいとは” というさまざまな思想がふんだんに詰まったインタビューとなりました。

そんな新鮮な記録を3話に分けてお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




同じ硬度でも違う味

ーーここ数年、お酒の味に対する“水の質”について色々と検証されていましたが、どのようなきっかけでスタートしたんですか?


石田
ずっと改良をしていくよね。どうしたら良い酒が出来るかってことについて。ステップ・バイ・ステップで麹について考える、酛(=酒母)について考える、原料(=米)についてはウチの場合もうそこそこ揃ってるから・・・。

結構色々とグルコース濃度とかも含めて“味わい”について手で触れるところは触ったんやけど、出品酒に関してどうしても引っ掛かるクセやテクスチャー、舌触りが出て来るんで水によるところがあるんじゃないかってとこに落ち着いたのが最初かな。

色んなことが同時並行してるんやけど、隆兵さん(=京都市の桂にある「隆兵そば」)とこの水が丁度アメリカ硬度で25mgでウチとこの水も25なんやわ。それで飲み比べてみたら明らかに違うんやわ味が。硬度っていうのは基本的に3つの元素のことでしかないから・・・。


ーー3つの元素・・・ですか。


石田
うん。カリウム、マグネシウム、カルシウム。硬度ってそれらの総量だけの話で。その一個一個の味も実際違うし、硬度だけで話がちやけど、味わいに関して硬度ってあんまり関係ないんじゃないか?ってところから比較してみようって、それがまず一つ。


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枯れた井戸


石田
で、その時丁度ウチの井戸も枯れたんやわ。使い過ぎて。

ちょっと話が錯綜するけど、井戸ってなんやろう?って。

水が湧き出るところに龍神さんを祭ったり、蛇を祭ったりする神社が結構あって。水に対して、湧き出ることに対して、その土地に対して信心するやん。お米に関しては日本酒の蔵って、稲は古事記・日本書紀でも言われてるように日本人の身体そのものやっていうので信心してるけど、水に関しても信心してて。

そこについてあんまり考えてなかったんやけど、自分がその、洗い物したり洗濯したり水をいっぱい使ったら井戸が枯れてしまった。井戸って寿命があるし、体力的な能力もあるし、実は生き物なんやなと。


ーー絶えず変動してる生き物ですか。


石田
そう。だからまず水についての理解と、井戸についての理解も進めないとって思って。土地への感謝っていうのと同じで。

思いとしてね、地酒ってものについて、自分が足で踏んでるところから出来てきたものを何かカタチに落として人に知ってもらうってことについて、もし自分とこの水が悪くてもそれを使い切らんと地酒に昇華出来ないんやって思ってて。

自分が井戸を傷めてしまって、新たに井戸を掘ってもらって、そこに信心を込めて社を作ってもらったところから、どう活かすのか。


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ーーそれが水に対するもう一つのスタート。


石田
自分とこの個性を知ろうと思うとやっぱり他のとことの比較がないと理解が深まらへんから。よく硬度で言われがちなところを、硬度じゃなくって、誰も教えてくれへん舌触りとかそういうことを自分で比較して醸造してみてやるしかないなっていうのが始まりかな。


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大地を舐めてきた味

ーーその舌触りやテクスチャーについて、色々と比較された中でそれぞれの個性の違いってどんなところでしたか?


石田
大きく今思ってるのは、“雨の水”っていうのはホンマにニュートラル。もちろんH2Oに近いやろうし何も入ってない感じ。

雨水をそのまま飲んだのかっていうと、そういうことじゃなくて浅井戸と深井戸の差がまずある。深井戸に関してはミネラルって言って良いんやろうけど、やっぱり何か質感があって、質量として重みとか存在感がある。ウチの場合も深井戸やん。

それって何かって言うと結局“石”なんやわ。

喜多さん(=喜楽長の醸造元 喜多酒造)とこの水がまったりするのはやっぱりカルシウムやろうし、それは海のせいやし。カルシウムは貝殻やから。フィリピン海峡からグーッと海の底が押し上げられて山になってて、そこを水が舐めて来てる。カルシウムが溶けてる溶けてないじゃなくて、何かその石っていうもんに、まぁ大地って言ったらおっきな言葉になるけど、そこを舐めて来るってことからの味。


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石田
ここ(=松瀬酒造)やったら花崗岩で、熱変性を受けた硅砂とかがグッと押し固められたその熱にならへん熱がやっぱりあるわけ。

で、隆兵さんとこやったら雨水に近い浅井戸なんやけど、愛宕山の方が硅砂が多くって砥石が採れるくらい。そういう所のは上滑りするくらいサラサラしてる。口の中でサーっと速い。

水は水やって言いながら、結局水は色んなイオンとか塩分、ミネラルとかそういう石の持ってるもんを、エネルギーとか気みたいなもんを持って来る気はする。石が水へ媒介するんやろうなって。


ーーはい


石田
転じると、じゃあ酒で何を表現しなアカンのかって言うと、表面的には“水”なんやけど、水の個性っていうのは石に転写されたものの溶媒やん。その溶媒に合う仕立てを米で肉付けしてやるっていうのが地酒っていうか、地方の小さい造り酒屋が造っていかなアカンものなんかなって。


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ーー土地の味・・・


石田
うん。土地の味っていうのはそういうことになるんやろうなって。だから、ここに住んで、ここで飲んでるからそれが土地の味なんやっていうのじゃなくて・・・。

華奢な人にゴツい服が好きやからって着せたりとか、すごい骨格あるのに細身の服が好きなんやって、そういうミスマッチがあったらアカンくて。その水が性分として持ってるものと、上に被せてやるものを品良くするっていうのが仕立てなんやろうなって思うんやわ。自分らはどこまでも加工業やから、加工業としてそういう理解がいるんやろうなと思う。



<つづきます>






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by matsunotsukasa | 2020-06-02 13:54 | 日記 | Comments(0)

R1BY 全国新酒鑑評会 入賞☆

お元気様です。ご無沙汰の管理人Kです。。

この時期、毎年の事なら全国新酒鑑評会の結果発表に賑わう酒屋業界。SNSなどではいろいろなお蔵さんがすでに公表されています。
ただ本年は「結審」と呼ばれる、いわば決勝戦のような審査が行われなかった事から、「令和元年醸造年度 金賞受賞蔵」は無しとなりました。
そんな中「成績が優秀と認められた出品酒」として、入賞酒に選ばれる事が出来ました☆
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3年連続、そして4年連続…と思いながら挑んだ年なだけに残念な気持ちでしたが、このご時世。仕方のない事が沢山ある中の一つとして考え、現時点での最高位に居れた事をまずは喜びたいです。飲まれる方すべての「美味しい!!」の笑顔の為。これも一重に皆様のおかげです☆

入賞、金賞…とありますが、獲れたから売れる訳でもなく、獲れたから旨いお酒か。これは全く関係なくて、そこを目指す過程が大事な訳で、良いものを目指す為の技術力。これが肝心☆私はそう考えます。

と、言うことでこの商品、ご購入が可能です。
とても美味しい!!とは、それぞれのお好みがあるので申しませんが、この研ぎ澄まされた弊社の技術力。ぜひ皆様ご自身で入賞レベルのお酒をご堪能頂ければと思います。またこの時期ですので他社様の商品も出回っているかと思います。複数のお蔵さんのお酒と利き比べるのも一興☆楽しみ方は無限大ですね☆

松の司 大吟醸 出品酒2019
精米歩合:30% 使用米:兵庫県産(特A地区)東条山田錦100%使用
アルコール分:17度 日本酒度-1
R1BY 全国新酒鑑評会 入賞☆_f0342355_08585193.jpg
ご購入のお問い合わせはこちら☆




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by matsunotsukasa | 2020-05-26 09:00 | 日記 | Comments(2)