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松の司 蔵元ブログ

『水から考える松の司』 〜第1話



〜プロローグ〜

これまで自分たちが造っている松の司というお酒について、そこに貫通する“味わい”や“松の司らしさ”といったものについて、肌感覚で分かってはいても、あまりはっきりとした言葉で表現して来れなかったように思います。

現時点でそれらを完全無欠の言葉で表現するのは難しいですし、おそらく不可能だとは思うのですが、当蔵の石田杜氏がここ数年取り組んできた“水”と言う観点から何かその裾にでも手が掛かるのでは無いかと感じました。

そこで『水から考える松の司』と題しまして、松の司のお酒全体に共通する“味わい”であり“何か”を、その仕込水から考えてみようと石田杜氏にインタビューを行った次第です。その話は水についてだけには留まらず、“井戸とは” “地酒とは” “理想の味わいとは” というさまざまな思想がふんだんに詰まったインタビューとなりました。

そんな新鮮な記録を3話に分けてお届けします。どうぞお楽しみください。



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松瀬酒造 杜氏 / 石田 敬三




同じ硬度でも違う味

ーーここ数年、お酒の味に対する“水の質”について色々と検証されていましたが、どのようなきっかけでスタートしたんですか?


石田
ずっと改良をしていくよね。どうしたら良い酒が出来るかってことについて。ステップ・バイ・ステップで麹について考える、酛(=酒母)について考える、原料(=米)についてはウチの場合もうそこそこ揃ってるから・・・。

結構色々とグルコース濃度とかも含めて“味わい”について手で触れるところは触ったんやけど、出品酒に関してどうしても引っ掛かるクセやテクスチャー、舌触りが出て来るんで水によるところがあるんじゃないかってとこに落ち着いたのが最初かな。

色んなことが同時並行してるんやけど、隆兵さん(=京都市の桂にある「隆兵そば」)とこの水が丁度アメリカ硬度で25mgでウチとこの水も25なんやわ。それで飲み比べてみたら明らかに違うんやわ味が。硬度っていうのは基本的に3つの元素のことでしかないから・・・。


ーー3つの元素・・・ですか。


石田
うん。カリウム、マグネシウム、カルシウム。硬度ってそれらの総量だけの話で。その一個一個の味も実際違うし、硬度だけで話がちやけど、味わいに関して硬度ってあんまり関係ないんじゃないか?ってところから比較してみようって、それがまず一つ。


『水から考える松の司』 〜第1話_f0342355_13423161.jpeg




枯れた井戸


石田
で、その時丁度ウチの井戸も枯れたんやわ。使い過ぎて。

ちょっと話が錯綜するけど、井戸ってなんやろう?って。

水が湧き出るところに龍神さんを祭ったり、蛇を祭ったりする神社が結構あって。水に対して、湧き出ることに対して、その土地に対して信心するやん。お米に関しては日本酒の蔵って、稲は古事記・日本書紀でも言われてるように日本人の身体そのものやっていうので信心してるけど、水に関しても信心してて。

そこについてあんまり考えてなかったんやけど、自分がその、洗い物したり洗濯したり水をいっぱい使ったら井戸が枯れてしまった。井戸って寿命があるし、体力的な能力もあるし、実は生き物なんやなと。


ーー絶えず変動してる生き物ですか。


石田
そう。だからまず水についての理解と、井戸についての理解も進めないとって思って。土地への感謝っていうのと同じで。

思いとしてね、地酒ってものについて、自分が足で踏んでるところから出来てきたものを何かカタチに落として人に知ってもらうってことについて、もし自分とこの水が悪くてもそれを使い切らんと地酒に昇華出来ないんやって思ってて。

自分が井戸を傷めてしまって、新たに井戸を掘ってもらって、そこに信心を込めて社を作ってもらったところから、どう活かすのか。


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ーーそれが水に対するもう一つのスタート。


石田
自分とこの個性を知ろうと思うとやっぱり他のとことの比較がないと理解が深まらへんから。よく硬度で言われがちなところを、硬度じゃなくって、誰も教えてくれへん舌触りとかそういうことを自分で比較して醸造してみてやるしかないなっていうのが始まりかな。


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大地を舐めてきた味

ーーその舌触りやテクスチャーについて、色々と比較された中でそれぞれの個性の違いってどんなところでしたか?


石田
大きく今思ってるのは、“雨の水”っていうのはホンマにニュートラル。もちろんH2Oに近いやろうし何も入ってない感じ。

雨水をそのまま飲んだのかっていうと、そういうことじゃなくて浅井戸と深井戸の差がまずある。深井戸に関してはミネラルって言って良いんやろうけど、やっぱり何か質感があって、質量として重みとか存在感がある。ウチの場合も深井戸やん。

それって何かって言うと結局“石”なんやわ。

喜多さん(=喜楽長の醸造元 喜多酒造)とこの水がまったりするのはやっぱりカルシウムやろうし、それは海のせいやし。カルシウムは貝殻やから。フィリピン海峡からグーッと海の底が押し上げられて山になってて、そこを水が舐めて来てる。カルシウムが溶けてる溶けてないじゃなくて、何かその石っていうもんに、まぁ大地って言ったらおっきな言葉になるけど、そこを舐めて来るってことからの味。


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石田
ここ(=松瀬酒造)やったら花崗岩で、熱変性を受けた硅砂とかがグッと押し固められたその熱にならへん熱がやっぱりあるわけ。

で、隆兵さんとこやったら雨水に近い浅井戸なんやけど、愛宕山の方が硅砂が多くって砥石が採れるくらい。そういう所のは上滑りするくらいサラサラしてる。口の中でサーっと速い。

水は水やって言いながら、結局水は色んなイオンとか塩分、ミネラルとかそういう石の持ってるもんを、エネルギーとか気みたいなもんを持って来る気はする。石が水へ媒介するんやろうなって。


ーーはい


石田
転じると、じゃあ酒で何を表現しなアカンのかって言うと、表面的には“水”なんやけど、水の個性っていうのは石に転写されたものの溶媒やん。その溶媒に合う仕立てを米で肉付けしてやるっていうのが地酒っていうか、地方の小さい造り酒屋が造っていかなアカンものなんかなって。


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ーー土地の味・・・


石田
うん。土地の味っていうのはそういうことになるんやろうなって。だから、ここに住んで、ここで飲んでるからそれが土地の味なんやっていうのじゃなくて・・・。

華奢な人にゴツい服が好きやからって着せたりとか、すごい骨格あるのに細身の服が好きなんやって、そういうミスマッチがあったらアカンくて。その水が性分として持ってるものと、上に被せてやるものを品良くするっていうのが仕立てなんやろうなって思うんやわ。自分らはどこまでも加工業やから、加工業としてそういう理解がいるんやろうなと思う。



<つづきます>






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# by matsunotsukasa | 2020-06-02 13:54 | 日記 | Comments(0)

R1BY 全国新酒鑑評会 入賞☆

お元気様です。ご無沙汰の管理人Kです。。

この時期、毎年の事なら全国新酒鑑評会の結果発表に賑わう酒屋業界。SNSなどではいろいろなお蔵さんがすでに公表されています。
ただ本年は「結審」と呼ばれる、いわば決勝戦のような審査が行われなかった事から、「令和元年醸造年度 金賞受賞蔵」は無しとなりました。
そんな中「成績が優秀と認められた出品酒」として、入賞酒に選ばれる事が出来ました☆
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3年連続、そして4年連続…と思いながら挑んだ年なだけに残念な気持ちでしたが、このご時世。仕方のない事が沢山ある中の一つとして考え、現時点での最高位に居れた事をまずは喜びたいです。飲まれる方すべての「美味しい!!」の笑顔の為。これも一重に皆様のおかげです☆

入賞、金賞…とありますが、獲れたから売れる訳でもなく、獲れたから旨いお酒か。これは全く関係なくて、そこを目指す過程が大事な訳で、良いものを目指す為の技術力。これが肝心☆私はそう考えます。

と、言うことでこの商品、ご購入が可能です。
とても美味しい!!とは、それぞれのお好みがあるので申しませんが、この研ぎ澄まされた弊社の技術力。ぜひ皆様ご自身で入賞レベルのお酒をご堪能頂ければと思います。またこの時期ですので他社様の商品も出回っているかと思います。複数のお蔵さんのお酒と利き比べるのも一興☆楽しみ方は無限大ですね☆

松の司 大吟醸 出品酒2019
精米歩合:30% 使用米:兵庫県産(特A地区)東条山田錦100%使用
アルコール分:17度 日本酒度-1
R1BY 全国新酒鑑評会 入賞☆_f0342355_08585193.jpg
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# by matsunotsukasa | 2020-05-26 09:00 | 日記 | Comments(2)

『松の司のきき酒部屋 Vol.6 〜後編』

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。

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第6回目『松の司 純米大吟醸 陶酔』のきき酒『後編』です。その香りと味わいについて掘り下げた『前編』でしたが、少し敷居の高いイメージのある大吟醸でありながら親しみやすい個性が浮き彫りになって来たところでのお開きでした。今回はその個性から料理とのペアリングを考察します。

『前編』に引き続き、次代の蔵元となる松瀬 弘佳くんに参加してもらい三つ巴のきき酒部屋です。いったいどんな話になったのか?それでは『後編』のスタートです。





マグロステーキとジュレ

ーーそれでは引き続きペアリングについて考えてみましょう。


雄作
せっかくやから弘くんから...。

弘佳
ちょっと脂味があるのも良いかなぁと。魚の炙ったやつとか...マグロステーキとかですかね。


ーー今まで魚だと赤身より白身っていうのが多かったのでマグロは新鮮ですね。


雄作
マグロステーキなら何をかける?ポン酢とか塩とか。

弘佳
あっ、塩ですね。今イメージしたのは。塩かワサビだけとか。


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圭太
脂があるのやったら熊肉を焼いたのとかも思い浮かんだなぁ。ちょっと濃いかもしれんけど。繊細過ぎるのよりは少し味のあるものに合わせたい気もする。

雄作
僕は先付で出て来るようなジュレ寄せとか煮こごりとか。これ(=陶酔)自体が割と酸もあるし良いかなぁって。


ーージュレ寄せというとどんな感じのものが?


雄作
この前食べたのだとフキとかをジュレで寄せてあって。それに南蛮酢で漬けた小鮎が入ってて、アレとか良いなぁ。


ーージュレはポン酢系のジュレ?


雄作
いや、アレは多分ポン酢とかそんな酸無くって、フキを炊いた出汁とかを固めた煮こごりみたいな。この『陶酔』やと洋食も良さげですね。


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『松の司のきき酒部屋 Vol.6 〜後編』_f0342355_11404372.jpeg
『松の司』純米大吟醸 陶酔』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合45%で使用。酵母は熊本系を主体に数種ブレンド。




『陶酔』のテクスチャー


圭太
結構味の構成が白ワイン的な感じもあるんかな。

弘佳
豚とか...イベリコ豚をガーリックとソテーしたような。


ーー割としっかり系の料理でいけるイメージですね?


弘佳
そうですねぇ。きっかけとして思ってるのはテクスチャーっていうか...。これ(=陶酔)がなめらかなんですけど、何て言うか比重がそんなに軽やかでは無くて。そう考えると豚とかの焼いたやつはこってりしてる訳じゃ無いけど脂がトロッとしてるじゃないですか。なのでテクスチャーが合うかなと。


『松の司のきき酒部屋 Vol.6 〜後編』_f0342355_11500955.jpeg
松瀬 弘佳/24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。



雄作
そういう酒のイメージに合わしてるってこと?

弘佳
魚のステーキにしてもちょっと脂味があって味の濃さっていうよりもテクスチャーですかねぇ。


ーー味がゆっくり推移するって事ですかね?味の流速が遅いイメージ?


弘佳
そうです。そういう事です。


『松の司のきき酒部屋 Vol.6 〜後編』_f0342355_11504256.jpeg



酸という取っかかり


圭太
雄作の軽めのイメージとはほぼ真逆やね。

雄作
そう、僕はやっぱり、酸味もあるし高精白(=精米歩合45%)なのもあって軽さがあるから、中華料理で言うとクラゲの酢を使った前菜とか。洋食でも酢が一個の取っかかりかなぁ、分かりやすいのだとカルパッチョとか。

圭太
前菜系で出て来るようなのかぁ。

雄作
どういう使い方するかやと思うんですけど、僕はあんまりテクスチャーっていうよりは、この酒の持ってる個性というか。そういう所から考えて行ってるから。

圭太
料理の味に添わしてる感じやね。

雄作
うん。でもテクスチャーからの考え方もあるんやなぁって。面白いですね。


『松の司のきき酒部屋 Vol.6 〜後編』_f0342355_11502542.jpeg
築山 雄作/33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得




タケノコの木の芽和え

ーー圭太さんなら和食で合わせたいものとかありますか?


圭太
それこそちょっと前にタケノコの木の芽和えを作ったんやけど。西京味噌で甘味もあって、木の芽の香りにも相性良いような感じするかな。

雄作
良いんじゃないですか、美味しそう。ただ焼いて醤油で味付けしたタケノコよりも合いそう。

圭太
爽やかな感じとおだやかな甘味と。


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松瀬圭太/37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得




肩肘張らずに色んな料理と

ーー話を聞いてると前菜からメインディッシュまで幅広く合わせられるイメージがありますね。大吟醸らしさもあるけれど料理との守備範囲も広いような。


圭太
そういう感じありますね。

雄作
うん。肩肘張って飲む感じじゃ無い。普段飲みじゃ無いけど、2,500円(=720ml)やったらワイン買うこと思ったら有りじゃないかなぁ。ワインより合う料理も多いし。

圭太
大吟(=大吟醸)やからとかしこまらずに飲んでみて欲しい。


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弘佳
アイスとか...。バニラアイスとか。

圭太・雄作
おぉー!!

圭太
それもうコース全部いけてまうやん。


ーーそれも『陶酔』の味が割とゆったりしてるからってこと?


弘佳
イメージではそうですね。

雄作
ジェラートとか軽いやつじゃ無いってことかな。ソルベ的なのじゃ無くて。

弘佳
僕の中ではそうかなと。

圭太
こうやって改めてきき酒してたらもっと普段飲みでも良いんじゃないかって。色々試してもらいたい感じになったね。


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今回の『きき酒部屋』はいかがでしたか?その香りや味わいからは思っていたよりも親しみやすい大吟醸感が表れた『陶酔』。そんなお酒の表情が幅広い料理とのペアリングへとつながった『後編』でした。
酸味やミネラル感といった味わいの個性を取っかかりに料理を選ぶ方法や、お酒の味わい全体のテクスチャーから考える方法などそれぞれの角度からペアリングを考えるのはとても面白い発見がありました。
みなさんも是非これをご参考にドリンカブルな『陶酔』を気軽に楽しんでみてください。

次回は『松の司 純米大吟醸 黒』をきき酒したいと思います。お楽しみに。



商品紹介:
『松の司 純米大吟醸 陶酔』
1.8L オープン価格(希望小売価格 5,500円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 2,500円税別)*専用箱入り

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# by matsunotsukasa | 2020-05-22 12:00 | 松の司のきき酒部屋 | Comments(0)

『松の司のきき酒部屋 Vol.6 〜前編』

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。

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第6回目となる今回は、古くから松の司のハイクラスの代表銘柄である『松の司 純米大吟醸 陶酔』です。贈答用として使われやすい商品でもあり、大吟醸というと単体でお酒のみの味を楽しまなければならないようなイメージがありますが、その味わいや料理との相性はこれいかに?

更に今回はいつもの2人に加え、松瀬酒造の次世代の蔵元となる松瀬 弘佳くんにも参加してもらい三つ巴のきき酒部屋です。話は盛り上がりボリューム増量の回となりましたので、『前編』『後編』の2回に分けてお送りいたします。





思ったよりおだやかな香り

ーー今回の『陶酔』は現行商品のH30BYです。1年の熟成を経てどのような香りになっているのでしょうか。


圭太
大吟(=大吟醸)やし、もっとバッと香りが立つかと構えたけどおだやかやな。若干の熟成香もある気がするけど。ちょっとアルコール感もあるかな。

弘佳
そうですね。吟醸香というか上品な香りしますね。

圭太
バラみたいな感じもかな。

雄作
うん。イソ(=酢酸イソアミル)ともカプ(=カプロン酸エチル)ともつかへん香り。


ーー酢酸イソアミルはバナナやメロンの香りに、カプロン酸エチルはリンゴの香りに形容される吟醸香です。酢酸イソアミルの香りはクラシックな吟醸香、カプロン酸エチルは現代的な吟醸香のメインストリームというトレンドの変遷があります


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『松の司』純米大吟醸 陶酔』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合45%で使用。酵母は熊本系を主体に数種ブレンド。




なめらかさとミネラル感の協奏

ーー上品さが際立った香りに対して味わいはいかがでしょう?


雄作
口に入れるとやっぱりカプロン酸エチルが、桃とかリンゴとか。黄色い甘い果物の味と。

弘佳
なめらかですね。

雄作
そうやなぁ。後の方がちょっと硬さというか植物の葉っぱみたいな、青りんごの皮とかそういう雰囲気があって。


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圭太
これもウチらしい後味がクッと締まる感じあるなぁ。パーッと入りが甘くて、広がりがあっておだやかで、でも最後の後切れで締まる。

雄作
そうですね。ミネラル感って言うんかな、鉱物とかそういうのを思わす。ブドウのタンニンとはまた違う締まり感。

圭太
そうやな。ホンマに鉱物の感じあるなぁ。岩の間を流れてきた水のイメージ。

弘佳
水の質が硬さに出てる感じですか?

雄作
うん。そうかも。


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ドリンカビリティの高い大吟醸


圭太
キレイに熟成してる感じもする。

雄作
甘みもあるし、米も削ってるから(=精米歩合45%)味が重いわけじゃなくて大吟らしい味。

弘佳
まとまりがあって、ダラダラ続かない味というか、シュッとしてますよね。

雄作
うん。キレもあるしね。いわゆる18(=きょうかい1801号酵母、カプロン酸エチルを多く生産する酵母)とかよりは次が飲める。

圭太
うん。くどくない感じ。

雄作
ドリンカビリティって言うんか、飲める酒ですよね。

圭太
最後のこの渋味の締まりが次の杯にいけるところやと思うなぁ。あんまりダラダラ甘いと、もうエエかなと思うけど。


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松瀬圭太/37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得


ーードリンカビリティってあるんですね?


雄作
ビールでよく言うんですけど。


ーーそれは割とライトなタイプのビールに対しての表現?


雄作
いや、そういう訳でもなくって。結構ゴールデンエールとかセゾンとかでも言うし。

弘佳
飲み飽きないってことですか?

雄作
そうそう。次から次に飲みたくなるような。例えばスタウトとかみたいにゆっくり飲む感じじゃないビールに使う表現ですね。


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築山 雄作/33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得


圭太
スーパードライとか?

雄作
あぁーでもそういう事やと思いますよ。あれは日本なりの表現やったんじゃないんですかね。ドリンカビリティの。

弘佳
食中酒的な。

雄作
そうそう。コンテスト用とかじゃなくって。


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石原さとみのような酒?


圭太
酒単体でも成り立つし、料理とも合う感じ。

雄作
そうですね。甘みもあって、適度に酸もあるから今の若い日本酒飲みの人も好きな感じちゃいますか。どう、若者の意見としては?

弘佳
うん。飲みやすいと思いますし、18の強い大吟やと結構カプと一緒に渋味・苦味を感じて気になる事があるんですけど、これは良い塩梅になってるなぁと。


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松瀬 弘佳/24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。


圭太
うん。ブラインドで(=お酒の銘柄やスペックを隠して)きき酒したらカプ気付けへんかもしれん。

弘佳
なんかウチらしいですよね。

雄作
そう、今っぽい雰囲気もあるけど飲んだ後にはやっぱり松瀬酒造の酒やなぁと。


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圭太
そうやなぁ。入りがすごく丸いなぁって、甘みと調和してる感じが。

雄作
石原さとみ的な感じですか(笑)みんなにウケる感じが。

圭太
ちょっと何言ってるか分かんないですけど(笑)

雄作
じゃあ、プロ野球選手で例えてみます?

弘佳
打線組んでみるとか?ウチの銘柄で(笑)

圭太・雄作
おぉー(笑)


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盛り上がって来たところですが、今回はここでお開き。思っていたよりも親しみやすい大吟醸感が出て来ましたね。この個性が料理とのペアリングにどのように反映するのか?それについては次回『Vol.6 〜後編』に続きます。どうぞお楽しみに。



商品紹介:
『松の司 純米大吟醸 陶酔』
1.8L オープン価格(希望小売価格 5,500円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 2,500円税別)*専用箱入り

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# by matsunotsukasa | 2020-05-20 16:13 | 松の司のきき酒部屋 | Comments(0)

『松の司のきき酒部屋 Vol.5』

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。

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第5回目となる今回は、長きにわたり松の司の定番商品である『松の司 純米吟醸 楽』と、松の司らしい新たなスタンダードとなることを目指して4年前に発売を開始した『松の司 純米吟醸』です。ラインナップの中間を支えるこの2商品はどちらも金沢酵母主体で、精米歩合も60%と55%というとても近しいスペックなのですが、一体どのような違いがあるのでしょうか?

また今回はいつもの2人に加え、当蔵の女性スタッフできき酒にも定評のある長谷川さんにもゲスト参加してもらいました。それでは3人のきき酒部屋をどうぞ。





金沢らしい香り

ーーまずは上位酒である『純米吟醸』から。その香りはいかがでしょう?


長谷川
イソ(=酢酸イソアミル、バナナやメロンの香りに形容される吟醸香の一つ)が立つ感じ。フレッシュっていうより、ちょっとこなれた感じが。

圭太
でも華やかに香りが立つというよりは、少し控えめな気がする。アルコール感も若干感じるかな。

雄作
よく9号(=きょうかい9号酵母、熊本酵母)で感じるミルクっぽい感じは全然ないですね。


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圭太
やっぱり金沢(=金沢酵母)らしい感じか。

長谷川
お米のニュアンスも...。

雄作
うん。米っぽい印象もありますね。


ーー能登杜氏の系譜にある松の司のお酒は、昔から金沢酵母を使用したものが多く、その香りや味わいから松の司といえば金沢酵母という印象がとても強くあります。


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『松の司 純米吟醸』酒米は精米歩合55%の山田錦のみを使用。酵母は金沢酵母。




松の司の入門編

ーーでは味わいについて。


雄作
口に入れるとやっぱり酢イソ(=酢酸イソアミル)で、メロンとか瓜っぽいフルーツの香りがあるかな。けっこう甘味も。

圭太
そうやな。甘味があって味も多めかな。

雄作
おだやかに丸みも感じる。

長谷川
入りの甘味があって、後に少し渋味が。

圭太
うん。少し渋味もあるし、余韻が長くて後が締まる。

長谷川
ちょっとしっかりした感じも。


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圭太
味もウチの金沢らしい感じやなぁ。

雄作
ホンマにそうですね。パリッと硬く芯が通ってて。

圭太
それが少しこなれて来てるから丸く感じるところもあって。昔ながらの松瀬らしい味わい。

雄作
圭太さんの好きな感じですよね(笑)

圭太
うん。好きなパターン(笑)

雄作
酒だけでも成立するし、料理と合わせても邪魔をせえへん。松の司の入門編って感じですよね。ウチの蔵でいう平均的な精白(=精米歩合)やし。松の司を飲んでみたいっていう人にはまずどうぞっていう、松の司らしさを感じられる酒ですね。


ーー落ち着いた果実の香りにしっかりした甘さとその後の軽い渋味の下支え。長い余韻を楽しめる松の司の入門酒と言える『純米吟醸』でした。


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おだやかなお米のニュアンス

ーーつづきまして『楽』に参りましょう。まずは香りから。


雄作
『純吟』よりもっとおだやかな感じしますね。

長谷川
これはちょっとミルキーな感じするかも。

圭太
うん。これはそう感じる。

長谷川
さっきの『純吟』で少しあったアルコール感みたいなのはあんまり無いね。


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雄作
イソもそんな立たへんおだやかな。

圭太
『楽』と比べると『純吟』はちょっと香ばしいにおいも感じる。

雄作
『楽』は日本酒らしい米のにおい。

圭太
そうやな。炊き立ての米みたいなニュアンスもあるし、重さが無くてホントにおだやか。


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『松の司 純米吟醸 楽』酒米は精米歩合60%の山田錦と吟吹雪を主に使用。酵母は金沢酵母主体。



まとまったやさしい調和

ーーそれでは味わいはいかが?


雄作
口に入れるとちゃんとイソを感じますね。

圭太
ちゃんと香りと味わいが調和してる感じがする。甘味と香りのバランスも。

雄作
甘過ぎることも無いですしね。

圭太
うん。その分香りも経ち過ぎないし、完成度が高い気がする。

雄作
張りもありますしね。


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圭太
さっきの『純吟』は余韻が長かったけど、こっちは後切れが良い。

長谷川
まとまったやさしい感じがする。

圭太
酸もバランス良くあって、ジューシーさというか充実感もある感じかするし、良いところで調和してるね。


ーー香りも味わいも総じておだやかで非常にまとまった印象の『楽』。ジューシーさもあり飲み心地が良さそうです。


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夏の料理や食材と楽しむ
『純米吟醸』と『楽』

ーー今回の料理とのペアリングについては、『純米吟醸』と『楽』の味の系統がある程度近しいので、特にどちらかに限定はせず相性が良さそうな料理を考えてみましょう。


雄作
刺身でいうと赤身や貝じゃなくて白身の方が良さそうですよねぇ。

長谷川
『純吟』ならもう少ししっかりしてても良いかも。

雄作
昆布締めするってのはありかな。

長谷川
魚なら普通に塩焼きとかでサラッと飲みたいかなぁ。甘辛く炊いたりじゃなくて。


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長谷川 享代/仕込みや蔵仕事もこなす頼れる女性スタッフ。きき酒能力も高い。


圭太
素材の味が引き立つ系やね。

長谷川
カルパッチョとかサラダっぽい酸味のあるようなのも。あっ、冷しゃぶとか良いかも。

圭太
水菜のシャキシャキしたのを添えてポン酢であっさり。

雄作
冷しゃぶ良さそうですね。豚にポン酢でもゴマダレでも合うやろうし。


ーー何か洋食的なものでありますか?


雄作
『純吟』やったらシーザーサラダとか。パルメザンチーズとベーコンと。がっつり肉っていうより、そういう感じになりますかねぇ。


ーー長谷川さんなら『純吟』にどんな料理作ります?


長谷川
アサリの酒蒸しとか。

圭太・雄作
あぁー。

雄作
小鮎の天ぷらとか塩で美味しいでしょうね。苦みもあって塩味もあるし。滋賀っぽいし(笑)これからの季節にトウモロコシのかき揚げとかも美味しいでしょうね。あと僕は白子が好きやから白子の天ぷらがいいな。


ーーVol.3の『しぼりたて楽』でも登場した白子ふたたび(笑)


圭太
マストやな(笑)


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雄作
白子やったら『純米』とか『生酛純米』よりも、もうちょっと米削った(=高精白)の『純吟』とかが良さそう。


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築山 雄作/33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得


ーー『純吟』の松の司らしい硬質感や軽い渋味にはよく合いそうな気がします。割と夏っぽい料理が多い気が...。


雄作
そうですね。これからの季節に冷やして美味しいクラスの酒ですからねぇ。『楽』は常温(約15℃)くらいでも全然良さそうやけど。

圭太
うん。『純吟』はちょっと冷やした方が良い感じやな。香りもおだやかやし守備範囲が広いね。


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松瀬 圭太/37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得


長谷川
意外にでも太巻きとかと合わせたら乙な気がする。

雄作
ちらし寿司とかもそうですよね。具材が色々入ってるから、これにしか合わへんって酒は困るけど日本酒はどれとも合わへんことは無いから。


ーー太巻き良いかもしれませんね。卵も入って野菜もシイタケやかんぴょうも入って。これから暖かくなりますし、太巻き持って『純吟』や『楽』を持ってのお外ごはんも楽しそうです。


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さて今回の『きき酒部屋』はいかがでしたか?長谷川さんにゲスト参加していただき、いつもとは少し違った雰囲気の中のきき酒でした。食べ物の話題も盛り上がりましたね。最後は割と『純米吟醸』に寄ってしまいましたが...。『純米吟醸』も『楽』も家飲みするのにはとても使いやすいお酒ですので、是非お試し下さい。

次回は『松の司 純米大吟醸 陶酔』を取り上げてみたいと思います。お楽しみに。



商品紹介:
『松の司 純米吟醸』
1.8L オープン価格(希望小売価格 3,500円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 1,750円税別)

『松の司 純米吟醸 楽』
1.8L オープン価格(希望小売価格 2,750円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 1,350円税別)

ご購入はこちらから:特約販売店一覧




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# by matsunotsukasa | 2020-05-11 17:50 | 松の司のきき酒部屋 | Comments(0)