『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。
*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。
第6回目『松の司 純米大吟醸 陶酔』のきき酒『後編』です。その香りと味わいについて掘り下げた『前編』でしたが、少し敷居の高いイメージのある大吟醸でありながら親しみやすい個性が浮き彫りになって来たところでのお開きでした。今回はその個性から料理とのペアリングを考察します。
『前編』に引き続き、次代の蔵元となる松瀬 弘佳くんに参加してもらい三つ巴のきき酒部屋です。いったいどんな話になったのか?それでは『後編』のスタートです。
マグロステーキとジュレ
ーーそれでは引き続きペアリングについて考えてみましょう。
雄作
せっかくやから弘くんから...。
弘佳
ちょっと脂味があるのも良いかなぁと。魚の炙ったやつとか...マグロステーキとかですかね。
ーー今まで魚だと赤身より白身っていうのが多かったのでマグロは新鮮ですね。
雄作
マグロステーキなら何をかける?ポン酢とか塩とか。
弘佳
あっ、塩ですね。今イメージしたのは。塩かワサビだけとか。
圭太
脂があるのやったら熊肉を焼いたのとかも思い浮かんだなぁ。ちょっと濃いかもしれんけど。繊細過ぎるのよりは少し味のあるものに合わせたい気もする。
雄作
僕は先付で出て来るようなジュレ寄せとか煮こごりとか。これ(=陶酔)自体が割と酸もあるし良いかなぁって。
ーージュレ寄せというとどんな感じのものが?
雄作
この前食べたのだとフキとかをジュレで寄せてあって。それに南蛮酢で漬けた小鮎が入ってて、アレとか良いなぁ。
ーージュレはポン酢系のジュレ?
雄作
いや、アレは多分ポン酢とかそんな酸無くって、フキを炊いた出汁とかを固めた煮こごりみたいな。この『陶酔』やと洋食も良さげですね。
『松の司』純米大吟醸 陶酔』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合45%で使用。酵母は熊本系を主体に数種ブレンド。
『陶酔』のテクスチャー
圭太
結構味の構成が白ワイン的な感じもあるんかな。
弘佳
豚とか...イベリコ豚をガーリックとソテーしたような。
ーー割としっかり系の料理でいけるイメージですね?
弘佳
そうですねぇ。きっかけとして思ってるのはテクスチャーっていうか...。これ(=陶酔)がなめらかなんですけど、何て言うか比重がそんなに軽やかでは無くて。そう考えると豚とかの焼いたやつはこってりしてる訳じゃ無いけど脂がトロッとしてるじゃないですか。なのでテクスチャーが合うかなと。
雄作
そういう酒のイメージに合わしてるってこと?
弘佳
魚のステーキにしてもちょっと脂味があって味の濃さっていうよりもテクスチャーですかねぇ。
ーー味がゆっくり推移するって事ですかね?味の流速が遅いイメージ?
弘佳
そうです。そういう事です。
酸という取っかかり
圭太
雄作の軽めのイメージとはほぼ真逆やね。
雄作
そう、僕はやっぱり、酸味もあるし高精白(=精米歩合45%)なのもあって軽さがあるから、中華料理で言うとクラゲの酢を使った前菜とか。洋食でも酢が一個の取っかかりかなぁ、分かりやすいのだとカルパッチョとか。
圭太
前菜系で出て来るようなのかぁ。
雄作
どういう使い方するかやと思うんですけど、僕はあんまりテクスチャーっていうよりは、この酒の持ってる個性というか。そういう所から考えて行ってるから。
圭太
料理の味に添わしてる感じやね。
雄作
うん。でもテクスチャーからの考え方もあるんやなぁって。面白いですね。
タケノコの木の芽和え
ーー圭太さんなら和食で合わせたいものとかありますか?
圭太
それこそちょっと前にタケノコの木の芽和えを作ったんやけど。西京味噌で甘味もあって、木の芽の香りにも相性良いような感じするかな。
雄作
良いんじゃないですか、美味しそう。ただ焼いて醤油で味付けしたタケノコよりも合いそう。
圭太
爽やかな感じとおだやかな甘味と。
肩肘張らずに色んな料理と
ーー話を聞いてると前菜からメインディッシュまで幅広く合わせられるイメージがありますね。大吟醸らしさもあるけれど料理との守備範囲も広いような。
圭太
そういう感じありますね。
雄作
うん。肩肘張って飲む感じじゃ無い。普段飲みじゃ無いけど、2,500円(=720ml)やったらワイン買うこと思ったら有りじゃないかなぁ。ワインより合う料理も多いし。
圭太
大吟(=大吟醸)やからとかしこまらずに飲んでみて欲しい。
弘佳
アイスとか...。バニラアイスとか。
圭太・雄作
おぉー!!
圭太
それもうコース全部いけてまうやん。
ーーそれも『陶酔』の味が割とゆったりしてるからってこと?
弘佳
イメージではそうですね。
雄作
ジェラートとか軽いやつじゃ無いってことかな。ソルベ的なのじゃ無くて。
弘佳
僕の中ではそうかなと。
圭太
こうやって改めてきき酒してたらもっと普段飲みでも良いんじゃないかって。色々試してもらいたい感じになったね。
今回の『きき酒部屋』はいかがでしたか?その香りや味わいからは思っていたよりも親しみやすい大吟醸感が表れた『陶酔』。そんなお酒の表情が幅広い料理とのペアリングへとつながった『後編』でした。
酸味やミネラル感といった味わいの個性を取っかかりに料理を選ぶ方法や、お酒の味わい全体のテクスチャーから考える方法などそれぞれの角度からペアリングを考えるのはとても面白い発見がありました。
みなさんも是非これをご参考にドリンカブルな『陶酔』を気軽に楽しんでみてください。
次回は『松の司 純米大吟醸 黒』をきき酒したいと思います。お楽しみに。
商品紹介:
『松の司 純米大吟醸 陶酔』
1.8L オープン価格(希望小売価格 5,500円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 2,500円税別)*専用箱入り
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by matsunotsukasa
| 2020-05-22 12:00
| 松の司のきき酒部屋
『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。
*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。
第6回目となる今回は、古くから松の司のハイクラスの代表銘柄である『松の司 純米大吟醸 陶酔』です。贈答用として使われやすい商品でもあり、大吟醸というと単体でお酒のみの味を楽しまなければならないようなイメージがありますが、その味わいや料理との相性はこれいかに?
更に今回はいつもの2人に加え、松瀬酒造の次世代の蔵元となる松瀬 弘佳くんにも参加してもらい三つ巴のきき酒部屋です。話は盛り上がりボリューム増量の回となりましたので、『前編』『後編』の2回に分けてお送りいたします。
思ったよりおだやかな香り
ーー今回の『陶酔』は現行商品のH30BYです。1年の熟成を経てどのような香りになっているのでしょうか。
圭太
大吟(=大吟醸)やし、もっとバッと香りが立つかと構えたけどおだやかやな。若干の熟成香もある気がするけど。ちょっとアルコール感もあるかな。
弘佳
そうですね。吟醸香というか上品な香りしますね。
圭太
バラみたいな感じもかな。
雄作
うん。イソ(=酢酸イソアミル)ともカプ(=カプロン酸エチル)ともつかへん香り。
ーー酢酸イソアミルはバナナやメロンの香りに、カプロン酸エチルはリンゴの香りに形容される吟醸香です。酢酸イソアミルの香りはクラシックな吟醸香、カプロン酸エチルは現代的な吟醸香のメインストリームというトレンドの変遷があります。
なめらかさとミネラル感の協奏
ーー上品さが際立った香りに対して味わいはいかがでしょう?
雄作
口に入れるとやっぱりカプロン酸エチルが、桃とかリンゴとか。黄色い甘い果物の味と。
弘佳
なめらかですね。
雄作
そうやなぁ。後の方がちょっと硬さというか植物の葉っぱみたいな、青りんごの皮とかそういう雰囲気があって。
圭太
これもウチらしい後味がクッと締まる感じあるなぁ。パーッと入りが甘くて、広がりがあっておだやかで、でも最後の後切れで締まる。
雄作
そうですね。ミネラル感って言うんかな、鉱物とかそういうのを思わす。ブドウのタンニンとはまた違う締まり感。
圭太
そうやな。ホンマに鉱物の感じあるなぁ。岩の間を流れてきた水のイメージ。
弘佳
水の質が硬さに出てる感じですか?
雄作
うん。そうかも。
圭太
キレイに熟成してる感じもする。
雄作
甘みもあるし、米も削ってるから(=精米歩合45%)味が重いわけじゃなくて大吟らしい味。
弘佳
まとまりがあって、ダラダラ続かない味というか、シュッとしてますよね。
雄作
うん。キレもあるしね。いわゆる18(=きょうかい1801号酵母、カプロン酸エチルを多く生産する酵母)とかよりは次が飲める。
圭太
うん。くどくない感じ。
雄作
ドリンカビリティって言うんか、飲める酒ですよね。
圭太
最後のこの渋味の締まりが次の杯にいけるところやと思うなぁ。あんまりダラダラ甘いと、もうエエかなと思うけど。
ーードリンカビリティってあるんですね?
雄作
ビールでよく言うんですけど。
ーーそれは割とライトなタイプのビールに対しての表現?
雄作
いや、そういう訳でもなくって。結構ゴールデンエールとかセゾンとかでも言うし。
弘佳
飲み飽きないってことですか?
雄作
そうそう。次から次に飲みたくなるような。例えばスタウトとかみたいにゆっくり飲む感じじゃないビールに使う表現ですね。
築山 雄作/33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得
圭太
スーパードライとか?
雄作
あぁーでもそういう事やと思いますよ。あれは日本なりの表現やったんじゃないんですかね。ドリンカビリティの。
弘佳
食中酒的な。
雄作
そうそう。コンテスト用とかじゃなくって。
石原さとみのような酒?
圭太
酒単体でも成り立つし、料理とも合う感じ。
雄作
そうですね。甘みもあって、適度に酸もあるから今の若い日本酒飲みの人も好きな感じちゃいますか。どう、若者の意見としては?
弘佳
うん。飲みやすいと思いますし、18の強い大吟やと結構カプと一緒に渋味・苦味を感じて気になる事があるんですけど、これは良い塩梅になってるなぁと。
圭太
うん。ブラインドで(=お酒の銘柄やスペックを隠して)きき酒したらカプ気付けへんかもしれん。
弘佳
なんかウチらしいですよね。
雄作
そう、今っぽい雰囲気もあるけど飲んだ後にはやっぱり松瀬酒造の酒やなぁと。
圭太
そうやなぁ。入りがすごく丸いなぁって、甘みと調和してる感じが。
雄作
石原さとみ的な感じですか(笑)みんなにウケる感じが。
圭太
ちょっと何言ってるか分かんないですけど(笑)
雄作
じゃあ、プロ野球選手で例えてみます?
弘佳
打線組んでみるとか?ウチの銘柄で(笑)
圭太・雄作
おぉー(笑)
盛り上がって来たところですが、今回はここでお開き。思っていたよりも親しみやすい大吟醸感が出て来ましたね。この個性が料理とのペアリングにどのように反映するのか?それについては次回『Vol.6 〜後編』に続きます。どうぞお楽しみに。
商品紹介:
『松の司 純米大吟醸 陶酔』
1.8L オープン価格(希望小売価格 5,500円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 2,500円税別)*専用箱入り
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by matsunotsukasa
| 2020-05-20 16:13
| 松の司のきき酒部屋
『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。
*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。
第5回目となる今回は、長きにわたり松の司の定番商品である『松の司 純米吟醸 楽』と、松の司らしい新たなスタンダードとなることを目指して4年前に発売を開始した『松の司 純米吟醸』です。ラインナップの中間を支えるこの2商品はどちらも金沢酵母主体で、精米歩合も60%と55%というとても近しいスペックなのですが、一体どのような違いがあるのでしょうか?
また今回はいつもの2人に加え、当蔵の女性スタッフできき酒にも定評のある長谷川さんにもゲスト参加してもらいました。それでは3人のきき酒部屋をどうぞ。
金沢らしい香り
ーーまずは上位酒である『純米吟醸』から。その香りはいかがでしょう?
長谷川
イソ(=酢酸イソアミル、バナナやメロンの香りに形容される吟醸香の一つ)が立つ感じ。フレッシュっていうより、ちょっとこなれた感じが。
圭太
でも華やかに香りが立つというよりは、少し控えめな気がする。アルコール感も若干感じるかな。
雄作
よく9号(=きょうかい9号酵母、熊本酵母)で感じるミルクっぽい感じは全然ないですね。
圭太
やっぱり金沢(=金沢酵母)らしい感じか。
長谷川
お米のニュアンスも...。
雄作
うん。米っぽい印象もありますね。
ーー能登杜氏の系譜にある松の司のお酒は、昔から金沢酵母を使用したものが多く、その香りや味わいから松の司といえば金沢酵母という印象がとても強くあります。
『松の司 純米吟醸』酒米は精米歩合55%の山田錦のみを使用。酵母は金沢酵母。
松の司の入門編
ーーでは味わいについて。
雄作
口に入れるとやっぱり酢イソ(=酢酸イソアミル)で、メロンとか瓜っぽいフルーツの香りがあるかな。けっこう甘味も。
圭太
そうやな。甘味があって味も多めかな。
雄作
おだやかに丸みも感じる。
長谷川
入りの甘味があって、後に少し渋味が。
圭太
うん。少し渋味もあるし、余韻が長くて後が締まる。
長谷川
ちょっとしっかりした感じも。
圭太
味もウチの金沢らしい感じやなぁ。
雄作
ホンマにそうですね。パリッと硬く芯が通ってて。
圭太
それが少しこなれて来てるから丸く感じるところもあって。昔ながらの松瀬らしい味わい。
雄作
圭太さんの好きな感じですよね(笑)
圭太
うん。好きなパターン(笑)
雄作
酒だけでも成立するし、料理と合わせても邪魔をせえへん。松の司の入門編って感じですよね。ウチの蔵でいう平均的な精白(=精米歩合)やし。松の司を飲んでみたいっていう人にはまずどうぞっていう、松の司らしさを感じられる酒ですね。
ーー落ち着いた果実の香りにしっかりした甘さとその後の軽い渋味の下支え。長い余韻を楽しめる松の司の入門酒と言える『純米吟醸』でした。
おだやかなお米のニュアンス
ーーつづきまして『楽』に参りましょう。まずは香りから。
雄作
『純吟』よりもっとおだやかな感じしますね。
長谷川
これはちょっとミルキーな感じするかも。
圭太
うん。これはそう感じる。
長谷川
さっきの『純吟』で少しあったアルコール感みたいなのはあんまり無いね。
雄作
イソもそんな立たへんおだやかな。
圭太
『楽』と比べると『純吟』はちょっと香ばしいにおいも感じる。
雄作
『楽』は日本酒らしい米のにおい。
圭太
そうやな。炊き立ての米みたいなニュアンスもあるし、重さが無くてホントにおだやか。
『松の司 純米吟醸 楽』酒米は精米歩合60%の山田錦と吟吹雪を主に使用。酵母は金沢酵母主体。
まとまったやさしい調和
ーーそれでは味わいはいかが?
雄作
口に入れるとちゃんとイソを感じますね。
圭太
ちゃんと香りと味わいが調和してる感じがする。甘味と香りのバランスも。
雄作
甘過ぎることも無いですしね。
圭太
うん。その分香りも経ち過ぎないし、完成度が高い気がする。
雄作
張りもありますしね。
圭太
さっきの『純吟』は余韻が長かったけど、こっちは後切れが良い。
長谷川
まとまったやさしい感じがする。
圭太
酸もバランス良くあって、ジューシーさというか充実感もある感じかするし、良いところで調和してるね。
ーー香りも味わいも総じておだやかで非常にまとまった印象の『楽』。ジューシーさもあり飲み心地が良さそうです。
夏の料理や食材と楽しむ
『純米吟醸』と『楽』
ーー今回の料理とのペアリングについては、『純米吟醸』と『楽』の味の系統がある程度近しいので、特にどちらかに限定はせず相性が良さそうな料理を考えてみましょう。
雄作
刺身でいうと赤身や貝じゃなくて白身の方が良さそうですよねぇ。
長谷川
『純吟』ならもう少ししっかりしてても良いかも。
雄作
昆布締めするってのはありかな。
長谷川
魚なら普通に塩焼きとかでサラッと飲みたいかなぁ。甘辛く炊いたりじゃなくて。
圭太
素材の味が引き立つ系やね。
長谷川
カルパッチョとかサラダっぽい酸味のあるようなのも。あっ、冷しゃぶとか良いかも。
圭太
水菜のシャキシャキしたのを添えてポン酢であっさり。
雄作
冷しゃぶ良さそうですね。豚にポン酢でもゴマダレでも合うやろうし。
ーー何か洋食的なものでありますか?
雄作
『純吟』やったらシーザーサラダとか。パルメザンチーズとベーコンと。がっつり肉っていうより、そういう感じになりますかねぇ。
ーー長谷川さんなら『純吟』にどんな料理作ります?
長谷川
アサリの酒蒸しとか。
圭太・雄作
あぁー。
雄作
小鮎の天ぷらとか塩で美味しいでしょうね。苦みもあって塩味もあるし。滋賀っぽいし(笑)これからの季節にトウモロコシのかき揚げとかも美味しいでしょうね。あと僕は白子が好きやから白子の天ぷらがいいな。
ーーVol.3の『しぼりたて楽』でも登場した白子ふたたび(笑)
圭太
マストやな(笑)
雄作
白子やったら『純米』とか『生酛純米』よりも、もうちょっと米削った(=高精白)の『純吟』とかが良さそう。
ーー『純吟』の松の司らしい硬質感や軽い渋味にはよく合いそうな気がします。割と夏っぽい料理が多い気が...。
雄作
そうですね。これからの季節に冷やして美味しいクラスの酒ですからねぇ。『楽』は常温(約15℃)くらいでも全然良さそうやけど。
圭太
うん。『純吟』はちょっと冷やした方が良い感じやな。香りもおだやかやし守備範囲が広いね。
長谷川
意外にでも太巻きとかと合わせたら乙な気がする。
雄作
ちらし寿司とかもそうですよね。具材が色々入ってるから、これにしか合わへんって酒は困るけど日本酒はどれとも合わへんことは無いから。
ーー太巻き良いかもしれませんね。卵も入って野菜もシイタケやかんぴょうも入って。これから暖かくなりますし、太巻き持って『純吟』や『楽』を持ってのお外ごはんも楽しそうです。
さて今回の『きき酒部屋』はいかがでしたか?長谷川さんにゲスト参加していただき、いつもとは少し違った雰囲気の中のきき酒でした。食べ物の話題も盛り上がりましたね。最後は割と『純米吟醸』に寄ってしまいましたが...。『純米吟醸』も『楽』も家飲みするのにはとても使いやすいお酒ですので、是非お試し下さい。
次回は『松の司 純米大吟醸 陶酔』を取り上げてみたいと思います。お楽しみに。
商品紹介:
『松の司 純米吟醸』
1.8L オープン価格(希望小売価格 3,500円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 1,750円税別)
『松の司 純米吟醸 楽』
1.8L オープン価格(希望小売価格 2,750円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 1,350円税別)
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by matsunotsukasa
| 2020-05-11 17:50
| 松の司のきき酒部屋
『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。
第4回目は生酛造りの商品である『松の司 生酛純米酒』と『松の司 純米大吟醸AZOLLA50』(アゾラごじゅう)のきき比べです。
日本酒好きの方にとっては耳にする機会が多くなった生酛造りのお酒ですが、わかりやすく言うと「自然の力を活用した昔ながらの日本酒の造り方」です。当蔵では酵母を添加せず、蔵の中に生きる酵母(蔵付き酵母)が自然に育った乳酸菌の力を借りながら、他の微生物との生存淘汰の中で生き抜きお酒を醸すという本当に昔ながらの造りをおこなっています。
そんな生命力の宿った2つの商品ですが、キーワードは‟乳酸”と‟複雑味”になりそうです。それでは2人のきき酒の模様をどうぞ。
一筋縄ではいかぬ香り
ーーまずは『AZOLLA50』から。新酒(R1BY)です。めずらしい純米大吟醸クラスの生酛ですがその香りは?
雄作
香りだけなら生酛って分からへんすね。
圭太
すっごい上品な香り。
雄作
金沢系なんかな?どの吟醸香が立つとかじゃなく全体的に...。
圭太
酵母から来る吟醸香じゃないような、このおだやかな吟醸香ってゆうか、それが特徴かな。
雄作
このクラス(=純米大吟醸)にしては料理の邪魔をしない料理に寄り添う感じですよね。
圭太
イソアミル(=酢酸イソアミル、吟醸香の一つ)よりおだやかな果実味とか花とか。
雄作
でもやっぱりヨーグルトとかミルクっぽい香りもするかなぁ。
サワークリームと若葉
ーー香りからもう何とも言えない複雑味が出ているようですね。では味の方は?
雄作
口に含んだ感じは、白い削った(=高精白)さわやかな味がしますね。
圭太
含み香(=口に含んでから感じる香り)は雄作の言ったようにヨーグルトっぽい感じするかな。サワークリームとかそういうさわやかな嫌みがない感じ。
雄作
うん。それに合わせてフレッシュな、何て言うか植物の青っぽい...若葉とかですかねぇ。
圭太
そうやな、それと後口の広がりがフワッとしっかりあるかな。
雄作
ウチの酒の特徴でもあるんすけど、最初引き込んだ時はけっこう硬めでタイト。徐々に生酛らしいやわらかさが出て来るかな。
圭太
その辺が生酛の良さなんやろうなぁ。硬いだけで終われへん。
雄作
クリアでタイトやけど、取っ付きにくい感じじゃなくて、やわらかさもあって。味も甘くないから料理に合わせやすいですよね。
ペコちゃんあらわる
ーーつづいては『生酛純米酒』にいきましょう。こちらは現在出荷中の一年熟成(H30BY)のものです。まずは香りから。
雄作
おっ、これはかなり乳酸的な香りが...。
圭太
より分かりやすいねぇ。
雄作
何か「ミルキー」みたい。ペコちゃんの顔が浮かぶくらい(笑)
圭太
あぁ、クリーミーな。確かに「ミルキー」みたい(笑)甘い香りもあるし。
雄作
あと熟成しかけてるからキャラメルみたいな趣きもあるかな。さわやかっていうよりはポチャンと肉付きのある。米由来の香りもしますしね。
圭太
比べたらやっぱり全然違うな。使ってる米の違いもあるかな。『AZOLLA』は無農薬(=栽培期間中無農薬栽培の山田錦)100%やもんね。
雄作
ちょうど今くらいの熟し加減やと熟成酒が苦手な人でも違和感なく飲みやすいと思う。
『松の司 生酛純米酒』酒米は精米歩合65%の山田錦と吟吹雪を使用。松の司の生酛造りの歴史が詰まった商品。
複雑味の中の古木と酸
ーーでは味わいについて。
圭太
きっちり酸も出てるな。
雄作
うん。酸もあるし、熟成しかかってるからドライフルーツとかレーズンとかの感じもあって。圭太さんがさっき言ったみたいなサワークリーム的なのもちょっとあるかな。
ーーそこは共通するニュアンスがある?
雄作
そうですね。あとちょっと乾いた古木みたいなニュアンスもある気がします。樽熟成じゃないけどそういう雰囲気。
圭太
木っぽい香りが熟成と良い感じに混ざって来てるんかな。
ーーそこも両方、植物的な表情が。さわやかな若葉と落ち着いたウッディなニュアンス。
圭太
これは生酛やからかなぁ?
雄作
ウチの特徴かもしれないですけどねぇ。いわゆる木香(=日本酒ではネガティブフレーバーとされる香り)って言いがちやけど、この場合は味を複雑にしてる一つの要素になってるから、品評会的なきき酒っていうのとは別で素直な官能評価とした時に僕はポジティブにとらえても良いんじゃないかと思いますね。ただ肉付きの良い味わいの酒に終わらない要素になってるんじゃないかな。
ーー『AZOLLA』と『生酛純米』好対照ですね。
雄作
うん。『AZOLLA』に戻ると品が良いですもんね。洗練されてる。
圭太
甘味がすごく綺麗やしね。無駄がないって言うか。やっぱり米削ってる(=高精白)良さかなぁ。
雄作
山田(=山田錦、酒米の王様)はやっぱり削っても味の焦点がぼやけへんし、クリアやけど面白くなくならへん感じしますよね。生酛やから余計にそうなんかもしれませんけど。
さわやかさと香ばしさの『AZOLLA50』
煮付けやチーズに合う熟成感の『生酛純米』
ーーそれではそれぞれの特徴が分かってきたところで料理とのペアリングの話にまいりましょう。
圭太
やっぱ『生酛』はゴツイ系になるかなぁ。醤油で煮たような、魚の煮付けとか。
雄作
キンキとか油が強いやつの煮付けとか良さそう。僕はやっぱりチーズかな。酸味もあって乳酸発酵の仲間で、パルミジャーノとかあっさりしたのよりもちょっと熟成してるやつが良いかもですねぇ。『AZOLLA』やったらブルーチーズっていうのも悪くないかも。あとは鮒ずしですね。
ーーおぉ、滋賀っぽい。
雄作
同じ乳酸系で卵もこってりしてるし、同じ米の発酵物やし良いんじゃないかと思いますね。あとね、焼き味噌とか。味噌とか蕎麦の実とかも入れるから『AZOLLA』でも良さそうですけどね。『生酛』だとリゾットとかも案外ワインより合うような気が...。
ーー『AZOLLA』はもう少し塩味やミネラル感に合わせる方向ですか?
雄作
圭太さんが言ってはったサワークリームとかのニュアンスはとっかかりになるかも...。
ーーライトなクリーム系?香草系とか?
雄作
ガパオライス的な(笑)でもそういうさわやかな香草と発酵系の調味料を使う東南アジアの料理は面白いかも。『生酛』より『AZOLLA』の気がしますしね。
圭太
案外合わせたら合うかもしれんなぁ。
雄作
この料理にコレっていうのじゃなくて、例えばタイ料理とかベトナム料理とかのコースに『AZOLLA』1本でカバー出来たりするんじゃないかな。
圭太
『AZOLLA』の複雑味がそういう系の料理に幅広く合うってこと?
雄作
うん。日本酒って絶対これに合うってピンポイントの良さっていうより、前菜からご飯ものまで通して飲めるのが魅力の一つやと思うし。コスパが良いってやつですかね。
ーーお米が原料なので米料理までいける。
雄作
『生酛』なら中華でも良さそう。でも今回、僕はやっぱり焼き味噌かなぁ。これは『生酛』にも『AZOLLA』にも。
ーーそういうおこげの香ばしさは良いかもしれませんね。皮をパリッと焼いた鰻とか。
雄作
鰻は良いかもしれませんね。白焼きじゃなくてタレで焼いたやつ。『AZOLLA』ならクリアさが鰻の油も切ってくれてさわやかにいけるかも。
ーーと、今回はこれくらいで。同じ生酛造りでもはっきりした違いがでましたね。それぞれ飲み頃の温度は『AZOLLA50』は冷やした5℃~室温20℃程。『生酛純米酒』は室温15℃~熱めの燗50℃といったところでしょうか。初夏のこの頃、冷やした『AZOLLA50』でさわやかにも良いでしょうし、暑い日にお燗した『生酛』も乙なものです。これから連休にも入りますので、是非飲み比べて生酛の奥深さを楽しんでみてください。
次回は、松の司の定番『松の司 純米吟醸 楽』と『松の司 純米吟醸』この2商品をきき比べてみたいと思います。どうぞお楽しみに。
商品紹介:
『松の司 純米大吟醸AZOLLA50』
1.8L オープン価格(希望小売価格 4,800円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 2,400円税別)
『松の司 生酛純米酒』
1.8L オープン価格(希望小売価格 2,500円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 1,200円税別)
ご購入はこちらから:特約販売店一覧
蔵人の紹介:
松瀬 圭太/37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得
築山 雄作/33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得
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by matsunotsukasa
| 2020-05-02 17:38
| 松の司のきき酒部屋
ーーこんにちは、管理人Hです。
今期の酒造りは先日4月22日に『甑倒し(こしきだおし)』を迎え、毎朝蔵から立ち昇っていた蒸気は消え、米を担ぐ蔵人たちの姿を見ることも無くなりました。毎朝の仕込みが終わったことで少し静かになった蔵ですが、ズラリと並ぶタンクでは今も発酵中の醪(もろみ)が搾られる時を待っています。
一方、瓶場ではこれからまだしばらくは搾られたお酒を火入れ・瓶詰めする作業が続きます。
お酒に熱を加え、瓶に詰め、打栓した後すぐに冷却です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが少しご説明を...。
醪(もろみ)を搾って出来た透明の清酒(=生酒)は“酵母”が取り除かれたことで発酵はストップしますが、まだ“酵素”が残っています。この酵素の働きをストップさせる熱処理(=火入れ)を行うまで清酒の成分の変化は続きます。
...というわけで、刻一刻と変化を続ける生酒をそれぞれの酒質に合わせて良い頃合いに火入れ・瓶詰めすることは、お酒のクオリティを左右する最後の大切な工程なのです。(その後の貯蔵についてはひとまず置いておきます)
だからこそ仕込みは終われど気を抜かず、今期最後の一本を詰め終わるまで真剣に、真摯にお酒と向き合い、心静かにお酒の声に耳を傾け、決してふざけること無く、瓶場では今日も今日とて作業に取り組むのでした。
お後がよろしいようで...。
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by matsunotsukasa
| 2020-04-29 12:00
| 日記